忍者ブログ
主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
 58 |  57 |  56 |  55 |  54 |  53 |  52 |  51 |  50 |  49 |  48 |
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

将臣ルート 28です。

隣  4


 

<将臣SIDE>

あそびが出ていったキッチンに呆然と立ち尽くしている将臣。

追いかけることも声をかけることさえ出来なかった。
というよりも、そんなことをできる時間はなかったのだが・・・。

「マジか?」
ボソリと呟く。

自分が好意を持っている相手に好きだと言われて嬉しくない
人間なんているだろうか。いや居るはずがない。

しかし、将臣の場合告げられた相手が既にここには居なく
自分の思いが宙ぶらりんのままなのだ。

「あいつ・・・。何だよこれいい逃げじゃねぇか。」
不機嫌そうに髪をワシワシと掻きむしる。

本気なのか冗談なのか。
この状況からして冗談じゃなさそうなことくらい将臣にもわかる。
では、なぜあそびは居なくなってしまったのか。
将臣は理解できないでいた。

「どうすっかな・・・。」
キッチンの台に寄りかかりながら両腕を組んで考える。

追いかける。
出ていってすぐというならこれが一番なんだろうが出ていってから
時間が経ってしまっている今は
入れ違いになってしまう可能性が高い。
なのでこれは却下。

携帯に電話する。
今は持ってねえだろうな。あいつ・・・。つーかここにあるし・・・。
目の前の棚にあそび愛用の携帯が申し訳なさそうに置いてある。

「じゃあ、やっぱここで待つしかねぇだろうな。あいつ白衣のままだし。」
そう言って溜息をつく。

でも、俺も焼きが回ったか。いつ帰ってくるか分かんねぇあいつをここで
待つなんてな。

そう言うとホールの方へ移動していく。

そして移動しながら自分がやけに冷静でいられることに驚いて苦笑いを浮かべる。
どうしても逃したくないってことか・・・。

 


<あそびSIDE>


「う〜。私・・・。何しているんだろう。」
お店を飛び出したものの実は店のすぐ外にいるあそびなのである。

あんな事、あんな事言うつもりじゃなかったのに・・・。
なんてこと口走ってしまったんだろう。
今更後悔をしても仕方がないのだが。
そうせずにはいられないのである。

取り消せるなら取り消したい。
取り消す・・・。
取り消してしまいたいの??
本当に?
分からない。分からない。
思っていたから出てしまったのは消しようもない事実だ。


止まる様子のない溜め息。
この店が大きな通りに面しているわけではないのだが白衣の女が店の前をウロウロ
しながら(然も溜息をつきながら)人の目につかない訳がない。

そんなことは今のあそびには関係ない話なのだが・・・。
もう、どうしたらいいんだろう。
このままにしておくのは嫌だな・・・。
じゃあ、どうするの??
冗談だって言ったってきっとバレてるに決まってる。


・・・・。


もう、あたって砕けようか。
もうバラバラに・・・。
多分有川さんならきちんと振ってくれるはず。
で、その後を引きずったりしないで、いつも通り居てくれると思うんだ。
問題は私の方だけどね。
しばらくは再起不能になりそうだけど。
でも、今のままじゃ絶対に良くない。
だから、もう一度きちんと有川さんに気持ち伝えよう。
うん。そうしよ。
ウジウジ悩んでたって仕方ないよね。
そう決心するとゴクリと唾を飲み込んだあと店に入っていった。

 

 

 


店に入ると既に人の気配がなく冷蔵庫のジィーという音だけが
寂しく響いていた。

「あれ・・・。帰えちゃったのかな・・・。」
気合を入れて入ってきたまでは良かったのだが
静まり返ってしまっている店内に気が抜けてしまう。

「ということは。無かったことにしよう。そういうことだよね。
もしくは冗談だと思ってくれているか・・・・。」
自分で言い出したのだがそう思うと急に悲しくなってくる。
心のスミの何処かでは、もしかしたらなんて微かな期待をしていたのかもしれない。
有川さんなら・・・なんて。
でも、現実はそんなに都合良く出来てないよね。

自嘲気味に苦い顔をして笑っている。はずだった。
でも、その瞳からは涙が堪えきれずに流れ落ちていた。

泣くつもりなんてこれっぽっちもなかった。
でも心というのか正直なのであろう。止まる様子がない。
それどころか益々溢れ出す涙。
堪えても堪えても出てくる涙はもうあそびにはどうすることもできなかった。
拭うこともせずに只々泣き続けた。


暫く泣き続けたあそびは怠い体を引きずるようにして着替え帰ることにした。
一応店から最後に帰る人は店内全てを点検することが義務になっていたのであそびも
店内を見回っていた。
そして最後に個室を見回った時だった。

「えっ!?」
個室の椅子に座って両腕を組んだまま眠っている将臣を見つけたのだ。
暫く将臣を見つめていたがゆっくりと近づくと、将臣の顔の前で手を
ヒラヒラさせてみる。
気がつく様子もなく完全に眠っているようだ。

「な、なんだ。帰っちゃった訳じゃなかったんだ・・・。」
そう小さく呟く。

個室の磨ガラスの窓から入り込む月明かりが将臣の顔を照らしている。

「疲れた顔してますね。私のせいもあるのかな・・・。」
眠っている将臣の前に両膝を付いて立つ。
そして、将臣の髪にゆっくりと手を伸ばして触る。
思ったよりも将臣の髪は柔らかくて触り心地としては悪くなかった。

「気持ちいい。って私なにしてるの!!」
触りたいという気持ちが無意識に働いてしまっていたことに驚いて
髪から手を慌てて引っ込めようとする。

「やめるなよ。」
引っ込めようとした手を強い力で掴まれ引かれる。

「あっ。」
手を引かれた勢いでバランスを崩して将臣の胸に飛び込む形になってしまった。
そして、将臣に強く抱きしめられる。
将臣の胸の中のあそびはミルミル真っ赤になっていく。

「×△&●◆!!!の、あ、ああああ有川さん。どどど、どうしたんでですか。」
恥ずかしさと驚きとで上手く言葉にならない。
何も言わずに只将臣はあそびを抱きしめている。

「あああ、有川さん??」

「嬉しかった。お前の気持ち。冗談なんかじゃないんだよな。」

「えっ?」

「俺の事好きだって言うことは冗談なんかじゃないよな。」
少し不安なのか確かめる様にあそびにもう一度尋ねる。

「・・・。
冗談なんかじゃないです。私、私有川さんの事好きです。」
そう、あそびが言うと将臣の抱き締める腕に益々力が入る。

「あ、有川さん・・・。く、く苦しいデス。は、離してもらっていいですか??」

「ダメだ。」

「えっ?何でですか??」
将臣の胸の中でモゾモゾと動き何とか将臣の顔を見上げると顔を赤くして
いる将臣と目があった。

「あっ・・・・。」

「見るな。」
再び将臣の胸の中に顔を埋められた。

真っ赤だった。
有川さん・・・。
もしかして、もしかして?!

「好きだ」

「!!!///。」
雰囲気的には何となく感じてはいたがいざ言葉にされるとそれはもうビックリするくらい
照れるのだ。

「ガラじゃねぇんだけど。お前にはちゃんと言わなきゃ伝わんないだろ。
同僚としてじゃない。一人の女として俺はお前が好きだ。」
将臣の言葉が何度もあそびの頭の中で木霊する。

「どこが良かったなんてなんて聞くなよ。おれにも分からねぇんだから。
でも俺はお前と居る時間が好きだぜ。」
そう言うと将臣はあそびを自分の腕から開放する。
あそびは、力が抜けたようにへなへなと床に座る。

そして将臣も床に胡座で座ると真っ直ぐあそびを見つめる。

「水森・・・。いや、あそび俺と一緒に居てくれないか?
恋人として。」

「///。」

あ、有川さん
カ、カッコイイデス。
かっこよすぎて。

 

<strong>「は、は、鼻血でそうです。」</strong>

「はっ?」
いい雰囲気だったのだがあそびの一言で台無しだ。
でも、当の本人は目を泳がせながらも大真面目である。

「そ、そんなこと言われたら私私」
今にも噴火しそうなくらい真っ赤な顔をして真剣に将臣に訴える。

そんなあそびを目の前にして呆れるどころか将臣は大爆笑しだす。

「ぶっ。告白されて言うことかよ。あははは&#12316;。
腹いてえ&#12316;。なんだよ、鼻血って色気も何もあったもんじゃねえな。
お前らしいって言えばそうなのかもなでも。あははは。」
いまだに腹を抱えて笑っている将臣を見ながら。

「今さっきまで好きだと言っていた人とは別人みたいですね。」
少しだけ皮肉っぽく言ってみるも

「あ?ああ。好きだぜ。お前のことはちゃんとな。」
そう優しい笑顔で言われてしまい。藪蛇だ。
そしてまた真っ赤になってしまう。

「ず、ズルイです!!」

「なんだそれ?」

「そんなこと言われたら。う、嬉しすぎます。」
真っ赤な顔で潤んだ瞳で将臣を見る。

「なっ。お前な&#12316;。手加減できないぞ。そんな顔されたら。」

「手加減??」

「まあいい。そのうち分かるからな。」
ニヤリと笑った将臣の顔にあそびは何故か寒気を感じた。

 

その日から無事(?)に二人は付き合うことになった。
そしてあそびは本来の目的をすっかり忘れて浮かれまくっていたのだった。


          
              
                         つづく
                     おまけは↓

 


あとがき
いつもより長がくて疲れてないでしょうか?
大丈夫ですか??

将臣君(^^ゞ
こんな感じでどうですかね(~_~;)
なんだか書いてたらヒノエ君とかぶっちゃって(~_~;)
取り敢えず山場は超えました。
あと二話ああしてこうして終わってしまうと思うと何かさみしいな。
はっ。Σ(゚д゚;)まだ終わってないのに。
ムムムあと二話サクサク頑張りますね。
おまけを書いてみました。
大した内容ではないのでお時間がある方のみどうぞ!!

 

 

*おまけ*

「じゃあ帰るか。随分と遅くなっちまったなぁ&#12316;。
今日お前んち行ってもいいか?」

「・・・・。はい?」

「もう電車ないしな。お前んち泊めてくれよ。」

「えっ///。」

「お前を待ってたから遅くなったんだし。俺達もう付き合ってるんだから
それに、この間泊まってるんだからなんの問題もないだろ?」

「えっ?」

「嫌なのか?」

「いや、そういうわけではないんですけど・・・。」

「じゃあ、行くぞ。」

「あっ。えっと。いいですけど。その・・・。
 おかしな事しないでくださいね。」

「は?おかしな事・・・。なんだおかしなことって(ニヤリ)」

「///。し、知りません!!」

「ちょっ。おい待てよ。」

そしてこの夜二人に何があったかは秘密&#9829;

                                                                                                                                                                          おしまい☆彡

 

 

ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました♪
おつかれさまでした。
ではまた次回!!

 

 

 

拍手[0回]

PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
♥ Admin ♥ Write ♥ Res ♥
カレンダー
03 2024/04 05
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30
プロフィール
HN:
だっち
性別:
女性
職業:
主婦
自己紹介:
異国在住の平凡主婦です。
カウンター
最新コメント
[05/25 詩織]
ご協力お願いします
お気に入り
「華ヤカ哉、我ガ一族」公式サイト 「華ヤカ哉、我ガ一族」公式サイト 「華ヤカ哉、我ガ一族」公式サイト
忍者アナライズ
Copyright ©  異国の主婦の妄想空間  All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  *Template by tsukika忍者ブログ [PR]