<span style="font-size:large;">有意義な休日の作り方。その4</span>
「すみません。休みの日にワザワザ・・・・。こんなところに。」
寝てしまっている讓を前に呆れ顔の将臣に申し訳なさそうに謝るあそび。
「ビックリしたぜ。お前から助けてください〜って電話あったときは。」
笑いながら讓の前に座る。
そうなのです。
私は譲君が寝てしまいしばらくの間プチパニックになり、
譲君を起こそうと叩いてみたり、大きな声で呼んでみたりしたんだけど
ダメで、おんぶしよう試してみてもダメで、
どうしようと部屋の中で30分ほどウロウロ。
誰かに助けて貰えばいいと気がつくまで10分。
誰にかけようと迷って有川さんにかけるまで15分。
あれから一時間あまりスヤスヤ眠る譲君とあの居酒屋にまだいた。
相当混乱していたんだろう私。
有川さんにかけてから譲君が有川さん弟だと気がついた。
もっと、早く気がついていれば
こんな無駄な一時間過ごさなくてよかったのに・・・。
「なんでこんなことになってるんだ??譲に飲ませたのお前か?」
自分の頭をガシガシ掻きむしりながらあそびに尋ねる。
「違いますよ〜!!!」
泣きそうな顔で、事の次第を将臣に話す。
「じゃあ、お前が会ったときには譲はもうこんな状態だったのか?」
「寝ては居なかったんですが、泥酔に近かったですよ。」
「どうしたんだ?こいつ。」
寝ている讓を眺めながら眉間にしわを寄せている。
「20歳になったからお酒飲んでもいいとかは言ってましたけど。
譲君こんな、飲み方するようには見えないですけど・・・。」
「そんな奴じゃないんだけどなこいつ。
まぁ、いつもでもここにこのまましとくわけにはいかねぇな。」
と、立ち上がると讓をおんぶする。
勿論私も手伝う。
「今、敦盛がタクシー探してきてくれてるはずだ。」
「えっ?敦盛君も一緒なんですか?」
譲を背負って先を歩いている将臣に訪ねた。
「ああ、一緒に飯食っていたからな。」
「もしかして、ご飯の途中だったりしました?」
「ああっ。そうだよ。お前があんな風に電話かけてくるから何事かと
切り上げて、来んだんぜ。」
振り返って見た顔は苦笑いだった。
「すみませんでした。」
項垂れたように下を向くと。
「おいおい。元々お前は悪くないんだろ?それに身内のことだからな。
お前が気にすることね〜よ。」
こいつが悪いんだよ。と背負っている譲君のお尻を後ろ足で蹴り上げる。
それでもスヤスヤ眠る讓君を見て私達は笑った。
考えてみればそうなんだよね。
私は巻き込まれて、押し付けられたようなものなんだよね。
でも全く、なんて人たちなんだろう。
酔っている仲間を忘れて帰っちゃうなんて。
今度会ったらしっかりお説教部屋行きだね!!
店の外に出るとタクシーを待っている敦盛君がいた。
「敦盛。どうだ?」
「あと、5分ほどで来るそうです。それにしても譲は大丈夫なんだろうか。」
「平気だろ?無茶な飲み方でもしたんだろ。」
「讓が?珍しいこともあるものだな・・・。」
讓を心配そうな表情で見ている敦盛に話しかける。
「敦盛君。ごめんね、有川さんと食事の途中だったんでしょ?」
「いや。大丈夫だ。ほとんど終わっているようなものだったから。」
「そうなの?なら良かった。」
と、敦盛君の言葉にホッとしていると
「おいおい。敦盛まだコースの半分くらい残ってたじゃね〜か。」
と、有川さんの言葉にまた奈落の底に突き落とされた。
折角、敦盛君の言葉ではい上がってきたのに・・・。
有川さんの馬鹿〜!!!
元はといえばあなたの弟さんが酔いつぶれたのが原因なんですからね!!
自分の身内の穴ぐらい自分達でなんとかしろ!!
と、言いたいところですが先輩だし、いつもお世話になってるし、
コース半分で切り上げてきてくれたし、私なら、一気出ししてくださいとか言って
食べてから来るかも・・・。(ひどいやつですね私って・・・。)
だから、ここはぐっと言いたい言葉を飲み込んだ。
タクシーが来たようで有川さんが先に譲君を乗せ自分も乗る。
タクシーの中から有川さんが
「敦盛お前どうする?」
と、敦盛君に訪ねていた。
尋ねられて敦盛君は私の方を見る。
えっ?!なぜ私を見るの?
「どうしたの?敦盛君?」
黙ってあそびを見つめている敦盛を不思議に思い聞いてみる。
「いや、その一人で大丈夫だろうか?」
「はっ?」
未だに訳がわかってない私にイラっときたのか有川さんが
「一人で帰れるか聞いてるんだよ。敦盛は。」
と、言ってくれた。
あ〜。そういうことね。
「大丈夫、大丈夫!!私なら平気だよ!!いつものことだし。
さっ乗って有川さんを助けてあげてね。」
タクシーのおっちゃんに
『行ってください』と、言って敦盛をタクシーに押し込むと手を振る。
ドアが締まるとタクシーは三人を乗せて走り去っていった。
そして、あそびの有意義な休日な(?)は終わろうとしていた。
あ〜。なんだか濃い一日だったな・・・・。
休みなのに休んだ気がしないのはなんでだろう。
すっごい疲労感。
仕事してるより疲れた。
手にもっている九郎さんに買ったクッションの入った袋をブンブン振り回す。
家に帰ったら飲み直そう。
自分のマンションの部屋の階に着いたときブンブン振り回してる袋が
『スポーン』と、手からすっぱ抜けた。
『わ〜!!』
慌てて袋を追いかける。
すごい速さで飛んでいく袋に追いつくはずも無く、
突き当たりの部屋のインターホンにぶつかった。
『ピンポーン』
という音共に。
ミラクル・・・。
すみませんこんな深夜に・・・。
『ガチャリ』
ドアの前に落ちている袋を拾っていたときドアが開いた。
出てきた部屋の住人らしき人に謝らなきゃとを上目遣いで見上げると。
<span style="font-size:large;">「えっ、えっ、えっ、え〜〜〜!!」</span>
「深夜だ。静かにしなさい。」
そこには龍神の料理長のリズさんが立っていた。
「はっ、はっ、はい。すみません。」
ていうかなんでそんなに冷静でいられるんですか!!!
急に知り合いがピンポン鳴らして現れたんですよ!!
少しくらい驚くましょうよ!!
私が驚きのあまり口をパクパクさせてリズさんに指までさしている姿を見て。
「お前と同じマンションだと知っていたが、こんな形で会うと思わなかった。
驚いたな。」
それで驚いてるんか〜い!!
目が少し大きくなってるくらいで表情余り変わってないんですけど。
突っ込みたい突っ込みたいけど・・・リズさんには無理です。
私なんか目が飛び出そうでしたよ!!
リズさん見た瞬間・・・・。
「水森それで私に何かようか?」
切り替え早いですね〜リズさん。
「いや、間違えてインターホン押してしまっただけで。用事はないんです。」
バツが悪そうに下向き加減でリズに話すと
「そうか。なら、また明日だな。お前も早く帰って休みなさい。」
と、優しい顔で言われてしまった。
「はい。夜分遅くにすみませんでした。おやすみなさい。」
と、一礼して言い終わっるとドアの前から去った。
自分の部屋の前につくと『パタン』と、扉の締まる音がした。
どうやら、部屋に着くまで見ていてくれたらしい。
気がつかなかった、リズさんと同じマンションだったなんて。
一度もあったことなかったもんね。
一度リズさんにの部屋を見てから自分の部屋に入った。
部屋に入ると崩れるように座り込む。
本当に本当に大変な一日でした。
これを有意義な休日というのでしょうか・・・。
いや、違う・・・。
こんな休日もう二度とゴメンだ〜。
明日からまた長い一週間が始まるのに一週間頑張る活力が湧きません。
来週はもう部屋から出ません。
部屋でオトゲーでもやろう。
来週こそは有意義な休日を作ってやる〜!!
そう心に強く誓うあそびだったが、来週は弁慶のソムリエ教室ということを
スッカリ忘れ夢の世界へ旅立ったのであった。
つづく
あとがき
龍神集中連載と自分で決めて頑張ってました。
これより個人ルートに入るわけです。
少し休憩が必要かも・・・。
休んでる間に土×日を仕上げようかな〜。
弁慶さんのソムリエ教室実はケータイHPの方にUPしてるんです。
龍神も同時連載してるんですが。
興味があるかたはご連絡頂けたらだっちのHPにご招待します!!
駄作文なので期待はしないでくださいね。
だっち
2011・7・5
<span style="font-size:large;">有意義な休日の作り方。その3</span>
一人家でご飯なんて食べる気分じゃなかったので、学生時代アルバイト先で
仲良くなった先輩を呼び出した。
「郁恵さんここです〜。」
店に入ってきた郁恵に自分の座っているカウンター席から手を振った。
あそびに気がついて郁恵もまた手を上げて近づいてくる。
「おまたせ!!」
あそびの隣の席に腰を下ろす。
郁恵さんは、私が料理の専門学校に行っていたときに凄くお世話になった人。
一人暮らしを始めて戸惑っていた私を、助けてくれたり、
ご飯を食べに連れていったり、
お酒を教えてくれたもの郁恵さん、私にとって恩人の様な姉の様な存在の人。
そして料理の世界では私の憧れの人なの。
郁恵が座ってから飲みの物を注文すると
「急に呼び出してすみませんでした。」
おしぼりで手を拭いている郁恵に謝る。
「いいよ。私も丁度お酒飲みたい気分だったし。あそびにも会いたかったしね。」
と、優しく笑ってくれる。
「私も会いたかったです。どれ位ぶりですかね??」
「一年ぶりくらいかな??お互い仕事忙しいからね〜。仕方ないんじゃない?
でも、元気そうで良かった。」
運ばれてきたビールで乾杯をする。
さっきも言ったけど郁恵さんは私にお酒を教えてくれた人だ、
だからお酒にはメッポウ強い。
「やっぱり、最初の一杯のビールは美味しいね〜!!」
満足げに半分ほど飲み干すとグラスを置く。
「で、今日は何があったの?」
食べ物のメニューを見ながらさりげなく聞いてくる。
「うっっ?いくえさん・・・。」
メ二ューを見ている郁恵を見て苦笑いをした。
カウンターごしに注文を終えるとあそびをみて
「わからないわけないでしょ?あんたが、私に連絡とってくるときは
必ずと言っていいくらい落ち込んでるか、なんかやらかしてもう辞めます〜
とか言ってるんだから。で、何があったの?」
残りグラスのビールを飲みながら横目であそびを見ている。
郁恵には誤魔化しや嘘は通用しない。
あそびは、平家から龍神に最近職場が変わったことや今日あったことなど
心にあったモヤモヤを郁恵に全部話した。
「ふ〜ん。」
二杯目のビールを飲み干して、ドリンクメニューを見ている郁恵はそっけない返事をした。
「あそび、日本酒にしようか。七海山?久保川?どっちにする?」
「あの・・・?郁恵さん聞いてます?」
「飲むの?飲まないの?」
鋭い目であそびを睨む。
「・・・・七海山でお願いします。」
あそびは郁恵にはいろんな意味で、頭が上がらないのである。
なんか、武蔵坊さんと一緒にいたら大変なことになりそう・・・。
「了解!!」
上機嫌で注文をする。
「で、あんたはなんでそんなに落ち込んでるわけ?」
「だから、」
「だって、アンタのせいじゃないでしょ?梶原さんの事にしたって、
その源さんだったけ?
むさしっーか、あんたの店の人名前が言いにくし長い。」
一人でブツブツ言っている郁恵。
そんなこと私に言われても・・・。
困るんですが。
「まぁ、いいや。」
はやっ!いいんですか!?
やっぱりいろんな意味ですごいな郁恵さんって。
「話戻すよ。皆さあんたより大人なんだよ。大きな傷や秘密だってあるよ。
それにあんたにだって一つや二つあるでしょ、知られたくないことや秘密なこと
誰にだってあって当然なんだからさっ。」
「郁恵さん。」
「まあ、あんたが一番気にしてるのは梶原さんだったけ?
何時もどうりにするのがいいんじゃない?
優しい人なら余計にね。
あんたより気にしてるのは向かもしれないし。
それに、バツイチだからってなんのも変わらないでしょ?
失敗してるから悪いって事もないし。
失敗したから分かることも多いと思うよ。、
そういうのは、私には経験ないからわからないけどさ。
でも、痛みを知ってるって大事なことだよと思うんだよね私はさっ。
だから、あんたは今まで通り彼に接するのがいいんじゃない?」
郁恵の言うことに少し胸が軽くなる。
「郁恵さん。そうですよね。」
「さっ!!飲もうあそび!」
と、運ばれてきたお酒をのみはじめた。
郁恵に話したことでスッキリしたのか酒が進む進む。
二人で盛り上がってると私たちのところに酔っ払っている大学生らしき
男の子がやって来た。
「お姉さん達楽しそうですね!!一緒にどうですか?」
ナンパですか・・・。
しかも大学生に郁恵さん勿論断りますよね?
と、隣にいるはずの郁恵を見る。
いません・・・。
既に、ナンパらしきをしていた男の子と肩を組んでそちらの集団に向かっている。
『青年酒は好きか?』とかなんとか言って・・・。
「郁恵さ〜ん。待ってくださいよ。」
郁恵と自分の荷物を持って二人を追いかける。
なんだか、振り回されてる気がするんですが・・・。
二人を追いかけていくと、お座敷で学生が盛り上がっていた。
若いな〜。と学生達を見ていると中に見たことある顔がある。
『譲君!?』
壁にもたれ掛かって半分夢に中に足を突っ込んでるような顔をしている。
近くにいる学生に確認してみると『そうですよ、知り合いですか?』と逆に聞かれた。
譲に近づくと、かなり飲まされたのか
酒臭い・・・。
この間譲君どうだったっけ??
飲んでなかってような気がする。記憶があるまではだけど。
それに彼はまだ未成年じゃなかったかな・・・。
「大丈夫?譲君、わかる私水森だけど。」
話しかけてみる。
ゆっくりとあそびを見ると
「あれ〜??みじゅもりはんじゃないへすか。」
と、ニヤニヤしながら起き上がる。
・・・・。
譲君聞き取れないんですが・・・。
「どうしてここひいるんでしょか。」
少し赤くした顔にトロ〜んとした目で見つめられる。
///。
今日の譲君ギャップが激しいよ。
女の子はそのギャップに弱いのよ!!
それになんだか、妙に色っぽいんですけど譲君。
ズルイよ。
「大丈夫なの?こんなに飲んで、未成年でしょ?」
照れる自分を誤魔化しように少し怒ったように讓に言う。
「俺、今月20歳になるんですよ〜。」
今度は聞き取れる言葉で言ってくれた。
相変わらず酔ったままだが。
「そうなんだ。でも、こんなになるまで飲んだらダメだよ。」
心配そうに讓を見ると、
「このあいらの、水森なんに言われたくないです〜」
・・・・。
その件に関しては何も言えませんけど・・・。
「譲君、もう帰ったほうがいいんじゃない?ねっ?」
誰かにと、他の学生に声をかけようと周りを見た。
あれ?
・・・・・。
私たち以外誰もいないんですが・・・・。
静かになったなぁ〜とは思ってたんだけど
まさかこんなところで置いてきぼりをくらうなんて・・・。
郁恵さんは??
と携帯で電話をしようとしたときメールが一件入ってきた。
『ごめん。急用が入って先に帰るね〜。お会計はしておいたから。
またね〜。』
声もかけずに郁恵さん。
さようですか・・・・。
学生の中に私を置き去りにして郁恵さん・・・。
御馳走様でした。
まぁ。その学生たちにも置いて行かれたんですけどね・・・。
そんなに存在感無かったかな?
そう言えばそんなこと考えてる暇なかったんだった。
譲君だ!!
と、讓を見ると
『すー、すー、すー』
気持ち良さそうに寝ている。
余程眠かったんだね〜。
うんうん。気持ちよさそうだね〜
<strong>ぢゃね〜よ!</strong>
こんな所で寝られたら私どうしたらいいのよ!!!
起きる気配もない。
おんぶできるほど私は力持ちじゃない。
このまま放置?
出来るわかないじゃん。
<span style="font-size:large;">どうしたらいいのよ〜!!!</span>
つづく
あとがき
前半少し暗くなってしまいました。
堪にはいいですよね!!
あと一話で休日編終わる予定です。
個人ルートはまだ迷い中です。
だっち
2011・7・4
<span style="font-size:large;">有意義な休日の作り方。その3</span>
「えっ?もしかしたら梶原さんですか?」
大きな荷物のせいで顔が半分しか見え無いので確認してみる。
「そうだよ〜。あれ、顔見えないか。ごめんごめん。」
荷物を一度降ろすとあそびにいつもの笑顔を見せてくれた。
「こんにちは。偶然ですね。というかその大きな荷物どうしたんですか?」
景時の足元にある大きな箱を見ながら訪ねた。
「あ〜これ?運ぶのを手伝ってるんだ。」
「えっ?手伝ってる?ですか。」
「うん。」
どうやら、梶原さんは買い物をしていてお年寄りの人がこの箱を運ぶのを
見て自分が運びますよ。と、自らその人に名乗り出てここから少し先のその
人の家まで運んでいるらしい。
この暑いのに・・・。
本当いい人なんだなぁ。
梶原さんって。
普段から思ってたけど。怒ったりしなさそうだし。
ソモソモ、怒ったところ想像できないし。
まぁ〜。少し頼りなさそうなところもあるけど。
こういう優しさって大事だよね。
「梶原さん優しいんですね。」
と、笑いかければ少し照れたように
「そんなことないよ〜。」
はにかんでいる。
「謙遜しないでくださいよ。良いことじゃないですか。」
と言えばそうかなと、笑う。
それが、なんだかとても可愛く見えて思わず
「私も手伝いますよ。」
と、言ってしまっていた。
いいよ。と、断られたけどなんだか無性に手伝わなくてはという
気持ちになってしまって半ば強引に
「さっ。行きましょう。」
と、箱の半分を持ち上げる。
「ほんといいのに〜」
なんて言いながら梶原さんも、もう半分を持ち上げたんだけど。
持ち上げて初めて気がついた。
運びにくい・・・・。
ちらっと梶原さんを見ると目が合いお互い苦笑い・・・。
忘れていたんだけど私の身長は梶原さんよりもだいぶ小さい。
ので釣り合うはずも無く・・・。
「あの、言い出しておいて何なんですが。運びにくくないですか?」
「はっはっはっ。」
梶原さんから乾いた笑いが返ってきた。
「すみませんでした。私が言い出しておいて。」
結局、元通り梶原さんが一人で荷物を持運んでいる。
何がしたかったんでしょうか。私は・・・・。
「いいんだよ。ありがとうね。」
「お礼なんて言わないでくださいよ。結局私、何にもしてないんですから。」
申し訳なさそうに俯けば
「こうやって、俺の話し相手になってくれてるじゃない?付き合う必要もないのに
付き合ってくれてるし。」
本当に梶原さんて・・・。
「なんでそんなにいい人なんですか!!」
「えっ!?俺が?」
他に誰がいるんですか!!
あなたですよ!!
「はい。」
と答えれば。
「そんなことないよ。」
と、一瞬影のある顔になった。
「えっ?」
あれ?どうしたのかな?と梶原さんの顔を見つめていると
そんな私に気がついたのか、
「ごめんごめん。今のは気にしないで。」
と、いつもの笑顔をに戻っていた。
荷物を届け終わると何度も何度もお礼を言われてお金を渡されたが
梶原さんは頑としてそれを受け取らなかった。
「良かったんですか?受け取らなくて。」
「うん。だってそんな大したことしてないのに、お金なんて受け取れないよ。」
こんなに暑くて、あんなに重たいものを運んだのに大したことないって
言えるって梶原さんて凄いな〜。
私なら、受け取ってるような気がする。
何となく梶原さんならいいダンナさんになるんじゃないかな〜。
なんて思ったので
「梶原さんって。いい旦那さんになりそうですね。」
と、なにげなく言ってみる。
「・・・・。」
黙っている景時の顔が沈んで見える。
あれ??
そうかな〜。なんていう言葉を想像していたあそびだったが
景時の顔を表情を見て驚いた。
「か、梶原さん?」
あそびの声にハッと我に返り。
「ごめんごめん。」
困ったようにあそびを見る。
「私何か気に障るようの事。」
「ううん。違うんだ。実はさ俺バツイチだから、いい旦那さん何かには
程遠い存在かな〜。なんて思っちゃったりして。」
と、笑ってくれたがその表情は寂しそうだった。
「す、すみませんでした。その、私知らなくて・・・。」
慌てて景時に謝る。
気にしないで。もう昔のことだしね、なんて笑っていってくれる。
でも、その笑顔が余計に梶原さんを痛々しく見せる。
触ってはいけないもの。そう感じた。
そのあと、梶原さんに
『この後一緒にご飯でも行きたいんだけどちょっと用事があるから、ごめんね。』
と言われていまったので、再び私は一人に戻ってしまった。
時刻はすっかり夕方になっていた。
つづく
あとがき
す、すみませんm(_ _)m
全国の景時さんファンの皆様。
いくらパラレルとはいえ景時さんをバツイチ扱いしてしまいました。
どうか、大きな心で読んでいってくれるとありがたいです。
景時さんは今まで登場がリズさんと同じくらい少なかったので
多い目に書いてみました。
もう少し休日編にお付き合いください。
だっち
2011・7・2
<span style="font-size:large;">有意義な休日の作り方。その2</span>
とりあえず行く宛もなく歩いていると大きな本屋が見てくる。
そういえば、月刊『料理人』がそろそろでてるかも。見てみるか・・・。
本屋に入り、目的の雑誌を探す。
あっ!!出てる。
雑誌を手に取ろうと手を伸ばし雑誌を掴むと、隣の雑誌に目が行く。
「えっ!!」
掴んでいた雑誌を離し隣の雑誌を手に取り目の前に持ってくる。
まじまじと見つめる。
「武蔵坊さん??」
あそびが手に取った雑誌は
『ワインな世界』という、ワインを取り上げている雑誌。
その表紙に、今月の注目のソムリエと書かれニッコリ微笑む弁慶が写っていた。
超ドアップ。
・・・・・。
武蔵坊さん。
何してるんですかこんなところで・・・。
弁慶のページを捲ると自分には見せたことのない
爽やかな笑顔満載で写っている。
記事を読んでいくとこんな質問があった。
『とても素敵な武蔵坊さんにとってワインとは何ですか?』
という極々一般的な質問。
で、武蔵坊さんの答えはというと。
・・・・・。
読んだ瞬間全身の肌が一気にたった。鳥肌もいいとこだ。
『そうですね。例えるなら女性のようなものとでもいいましょうか。
ワインは奥が深く、一つ一つ個性があり同じものはけしてない。
女性も同じだと思いませんか。奥が深くけして同じ人は一人として居ない。』
まだまだ、この先もさっぶ〜いセリフが永遠と続いている。
『この世の中の女性が全てワインのような存在です。私を酔わせる。
もちろんあなたも。』
あまりのこのサブイセリフに思わず雑誌を投げ置いてしまった。
寒すぎやしませんか。
武蔵坊さん。
それに、記者の人に言ってましたよね!!
何言っちゃってるんですか。
読んでるこっちが恥ずかしいじゃないですか。
まあ、でも雑誌には罪はないよね。
雑誌を元の状態に戻しておいた。
まさか、こんなところで武蔵坊さんに会うと思わなかったよ。
雑誌だけど・・・。
なんだかすっごい疲れた気がする。
雑誌探しに来ただけなのに・・・。
目的の雑誌を買いにレジに並ぶとレジの向こうの本売り場に
オレンジ色の頭が見えた。
あんな頭の色した人そうそういないよね。
もしかしたら・・・。
レジに並ぶのを止めてオレンジ色の頭の方に近づいていく。
棚の端から覗くと九郎その人だった。
そうだ、ここであったのも何かの縁だよね。
それに、このクッションも渡せるし。
と、思うと九郎に近づいていく。
九郎はに雑誌に没頭しているのであそびには気がつかない。
一体何を読んでるのかな〜。と思いながら周りの雑誌を見てみると
・・・・・。
裸のおネイちゃん達が沢山写ってる雑誌がたくさん並んでいる。
慌ててその場から離れる。
こんな所女一人入っちゃダメでしょ!!
九郎さん・・・・。
やっぱり男だったんですね。
そういうの読むように見えなかったけど。
いいじゃない。
大人なんだから。
でも、なんだか見てはいけないような物を見てしまった気がする。
これが、有川さんとかだったら笑えるんだけど・・・。
しかも、あそこまで真剣な顔で見られるとなんだか
切実なのかな〜なんて思って。
そんな九郎さんを見てしまったことに罪悪感が生まれる。
此処は、このまま帰ろう。
と九郎に声をかけられず雑誌を購入して本屋を出た。
足取りは重たくもう帰ろうかな〜なんて思っていた時だった。
「あれ〜。遊びちゃんじゃない??」
後ろから声をかけられる。
振り返るとそこには景時が大きな荷物を持って立っていた。
あとがき
遊びすぎてません??
大丈夫かな??
楽しくってつい(#^.^#)
八人全員出るかどうかは・・・・。
今回は更新早めでいきますよ!!
乗ってきてる感じ!!
ここ逃すときつくなるから・・・。
頑張ります!!
感想欲しいな〜。
頑張り度が激しくUPします。
どなたか私に愛のメッセージを♥
だっち
2011・7・1
<span style="font-size:large;">有意義な休日の作り方。その1</span>
今日は龍神に来てはじめてのおやすみ。
今週は初っ端から酔っ払い事件などあって大変だったけど。
その後は何事も無く忙しく過ぎていったんだよね。
流石に疲れていたのかもう昼過ぎ。
少し寝すぎたかも・・・。
でも、御陰で疲れがとれた気がする。
一度大きく伸びをすると、部屋の隅にある引きちぎれた座布団が
目に入った。
あっ!!!
これ、なんとかしなきゃね〜。
座布団を手に取り、
直すって言っても、針と糸じゃ無理じゃね・・・これ・・・。
一応やってみたけど・・・・。
<span style="font-size:large;">『ビロ〜ン』</span>
益々無残な姿になってしまった・・・・。
よし、新しいの買ってお詫びをしよう。
早速立ち上がると出かける準備を始める。
普段仕事柄化粧をしないのあそびだが、休日や出かけるときなどは
それなりに化粧をする。といってもかなりのナチュラルメイクだが。
外は、暑い。
かなりの薄着をしてきたつもりだったが、それでも暑い。
気温も湿度も高くその上日差しも容赦なく照りつける。
着てきたキャミソールが、汗で肌にへばりつく。
あ〜。こんなに暑い日に飲むビール最高なんだよね〜
でも、流石にビール片手に買い物なんて出来ないし。
さっさと買ってどこかに入って飲もうっと!!
(オッサンか!!)
とりあえず、雑貨屋さんに入ってみた。
可愛らしいキャラクターのクッションや座布団が並んでいる。
このくまのクッション可愛い〜。と、思わず抱きしめてみる。
フカフカでこの肌触り気持ちいい〜。
これにしようかな・・・・。
いや、ダメでしょう。
九郎さんのあの部屋にこの可愛いくまのクッション・・・。
場違いすぎる。
でも、でも、もしかしたら九郎さん可愛い物好きでこれあげたら
『可愛いな〜。癒される』
とかいって毎日抱きしめて・・・・・。
無いな・・・。
なんか自分で言っててアレだけど想像なんかするんじゃ無かった。
キモイ・・・。
ごめんなさい九郎さん。
この店じゃあ無理かな・・・。
と店を出て和雑貨などを取り扱ってる店に入った。
そこで、唐草模様の座布団を見つけて買おうとしたが。
怒られそうだったので止めておいた。
結局九郎の髪の色と同じオレンジ色のクッションを買った。
座布団とも思ったんだけど、この色が余りにも九郎とかぶるので
思わず買ってしまったのだった。
なかなか、いい買い物が出来たとご機嫌でカフェに入った。
テラス席に座り注文は勿論ビール。
然も一人で・・・。
注文を待っている間ふと周りを見てみる。
カップルばっか・・・。
一人で座ってるのはあそびだけ。
中には女性同士の席もあるが八割方カップルだった。
・・・・。
嫌がらせみたい。
そりゃあさ、一人の今の生活に不満があるわけじゃ無いから。
彼氏、彼氏なんて騒いでないけど。
欲しいか欲しくないかで言われれば、そりゃあ欲しいけど。
でもさ、一人の客をカップルのど真ん中に座らせるって
どうなの・・・。
嫌でも一人だと痛感して
とっても虚しくなるじゃない。
そんな時
「お待たせしました。」
と、ビールが運ばれてくる。
来ました〜!!!!
カラカラに乾いた喉に早速ビールを流し込む。
うま〜い!!!!
喉は乾いていたけど、
先に運ばれてきた水を飲まずにビールが来るまでじっと耐えていた甲斐がありました。
『最高です!!!』
先程の落ち込んでいた気持ちなんてどこえやら。
すっかりご機嫌になっていた。(かなり単純・・・。)
もう一杯と行きたいところだったが、
流石に、カップルの中で二杯目に行く勇気もなく店を出た。
さてこれからどうしょうかな。
せっかくここまで出てきたんだし、何処か行こうかな。
何も考えずとりあえずブラブラしていた。
その時少し先に人だかりが出来ていた。
何となく近づいていくと
『バッチン』
何かを叩くような音が人だかりから響いてきた。
何かあったのかな??
と、人だかりの間から覗いてみた。
真っ赤な髪の男の人が綺麗な女の人にまさに今頬を打たれた直後
のようだった。
修羅場だね・・・。
こんな道の真ん中で良くやるな〜なんて思いながら通り過ぎていく。
どんな顔してるんだろうと興味津々で横目で男の顔を盗み見る。
どれどれ・・・・。
おっ。なかなかのイケメって!?
あれ、藤原君じゃん!!
そこには、打たれた頬を真っ赤にした湛増が立っていた。
「ヒノエ君。最低〜!!」
打ったらしい女の人が湛増を残して走り去っていく。
ひのえ??
藤原君じゃないのかな??
人違い?でも、藤原君に間違いなさそうだし・・・。
どっちにしても。
首を突っ込むと、ろくなことにならなさそうだから。
それに、藤原君だってこんなところ見られたら恥ずかしいよね。
当然此処は、スルーでしょ!!
私は少し小走りで、その場を離れた。
にしても、痛そうだったよね。
藤原君の頬。
真っ赤だったし・・・。
そう言えばこれからホントどうしょうかな〜。
あそびの休日はまだ始まったばかりだった。
つづく
あとがき
思ったより長くなりそうな予感・・・。
サクサク行く予定ですが。
あくまでも予定です。
だっちの性格上なんとも言えませんが。
ひのえ君ごめんね。
でも、現代に彼のような人がいたら勘違いがする女の人
多そうだし。
そんな気がして書いてみました。
全国のひのえ君ファンの方ごめんなさ_m(_ _)m
この先、景時さんに申し訳ないこと無なりそうです。
先に謝っておこう。
ごめんなさい〜!!!
では、また次回も遊びにきてね!!!
だっち
2011・6・29
02 | 2024/03 | 04 |
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