隣 6
いつからそこに居たのか振り返ったとたんあそびは固まる。
驚きすぎて声がでない。
そんなあそびに将臣は近づいてくる。
あそびの直ぐ側まで来て将臣は歩を止める。
「あっ、どうして・・・。」
辛うじて出た言葉に将臣が険しい顔をしながら『ホールの奴らが
お前がストーカーのところに掛け出していったって大騒ぎしてるんだぜ。』
と、険しい顔はしているが呆れとも取れるような言い方で説明してくれる。
「えっ。」
「あれ?俺ってそういう扱いになっちゃってるんだ。
でも、まあそういうふうに見られてもおかしくはないかな。」
と、二人を見て笑う。
「おい、こいつ誰だ?いや待てよ。こいつたしか前に『平家』で飯食ったときに
お前と居た奴じゃないか?」
「あっ。ホントだ。お前に殴られたときに現れた人だね。
へ〜。あそびこいつなんだろ?」
相変わらず険しい顔の将臣に対して冷静な様子の暁
見た目には何を考えているかサッパリ分からない。
両極端の二人にあそびは内心ヒヤヒヤであった。
「こいつってあんたより歳上なんだからそんな言葉遣いやめてよ。」
傍に居る将臣をチラッと見た後暁を睨みながらあそびは言った。
「へ〜。イケメンだね。で、どこが良かったの?」
将臣を無視するかのように暁あそびだけを見て話しかける。
「なんで、そんな事あんたに言わなきゃいけないの!
だいたい会うだけが約束だったんじゃないの?」
「会うだけなんて言ってないよ。会わせてよって言っただけで、
会うだけなんて言ってないと思うけど?」
そう言われて考えてみれば会うだけなんて言っていないことに気がついた。
「もう、いい加減いして欲しいんだけど!
一体何なのよ!何でそこまで嫌がらせするの?私があんたに何をしたのよ!」
ヒステリック気味にそう叫ぶ。
「嫌がらせか・・・。」
そう呟くと暁の表情が一瞬曇る。
「付き合ってるって言ってたみたいだけど本当なの?」
将臣の方を見ながらあそびに尋ねる。
「本、「本当だぜ。」」
あそびが返事をしようとしたとき今まで黙っていた
将臣が暁に向かって返事をした。
「お前いい加減しろよな。黙って聞いてりゃ好き放題いいやがって
俺はお前がコイツとどんな関係なんかは知らねぇけど
話聞いてりゃ昔の男なんだろ?お前。情けないと思わないのか?
ハッキリ言ってコイツ嫌がってるじゃねえか。
しつこいにも程があるぞ。」
そう言って将臣は暁鋭い目付きで睨みつけた。
「あんたに何がわかるんだよ。
何にも知らないくせに首を突っ込んでくるなよ!」
今まで冷静だった暁の口調が鋭くなる。
「ああ。俺は何も知らないぜ。
でもなぁ、こいつは今は俺のもんだ。
いいかこれ以上こいつを苦しめたら俺はお前を許さない。」
傍に居たあそびを自分の腕の中に引き寄せると更に鋭い目付きで暁を睨む。
「っ!!」
将臣と暁の間にピリピリしたものが流れる。
でも将臣の腕の中はとても暖かく感じた。
この腕の中は安心する。
そして有川さんが私の為にこうやって暁に言ってくれている。
あの面倒くくさがりの有川さんが私の為に。
嬉しくて涙がでそうだった。
「有川さん。ありがとう」
小さな声で呟く。
その言葉に将臣はさらに腕の力を強くする。
あそびは将臣の顔を見上げて
「有川さん。腕いいですか?」
と、言って将臣の腕から抜け出す。
「暁。この人が私の好きな人。
確かに昔は貴方のことが好きだったでも、今は違う。
私はこの人が好きなの。」
そう言うとあそびは将臣の手を取る。
「今こうしていたいのはあなたじゃない。
分かって欲しい。」
「じゃあ、友達としてだけでも・・。」
「暁。あなたは私に何を求めているの?
優しい言葉?厳しい言葉?同情してほいの?」
「ちが、違う。俺は今の俺があるのはお前の御陰だから。
これからも友達としてでもいい。俺にまた昔みたいに間違った方向に行くことがあったら
言って欲しいんだ。お前だけだったんだ。俺にそこまで言ってくれたのは。」
「・・・・。
できない。出来ないよ。」
「そんな事無いよ!お前になら」
悲痛な心が聞こえそうなくらい位必死に訴える。
「そうじゃない。違うんだよ。暁。」
そう言って今にも泣きそうなあそび。
「何が、何が違うんだ!」
冷静さを失って暁は大きな声で叫ぶ。
そんな暁にあそびは必死に訴えた。
「暁。あの頃は私はあなたに強くなって前を向いて欲しかった。
それは、あなたのことが好きだったから。
でも、今は違う。私が好きな人は有川さんで貴方じゃない!
隣にいたいのも有川さんであなたなじゃない!
貴方の事を本気で考えて言う言葉でなければ意味がないんだよ?
今の私が例え同じ言葉をあなたにかけてとしてもそれはなんの意味もない。
貴方の事をちゃんと真剣に考えて思ってくれる人に言って貰わなきゃ意味がないんだよ。
そして、それはもう私じゃない。」
あそびの言葉にその場に力なくと座り込み放心状態の暁。
そしてそんな暁に声をかけてたのはあそびではなく二人のやりとりを
黙って聞いていた将臣だった。
「おい。いい加減目覚ませよ。男だろうがお前。
いつまでも昔の女の穴ばっか追いかけてんじゃねえよ!」
目の前まで来た将臣を黙って見上げている。
「こいつが今にも泣き出しそうなのを必死に堪えてるのがお前にはわからないのか?
好きだった奴にこんな顔させるんじゃねえよ。」
「あんた・・・。」
「それにな、いつまも過去にとらわれるなよ。
そろそろ前向いて歩いてみたらどうなんだ?
こいつよりイイ女いるかもしれないぜ?」
「・・・・。」
「まぁ、俺は他の女なんかよりこいつがいいだけどな。
でも、お前は違う。本当はもう分かってるんだろ?
そんな自分ボロボロに傷つけてどうすんだよ。
全く世話が焼ける奴ばっかだなお前の周りは。」
呆れたように将臣はあそびを見つめる。
「ほら。」
そう言って将臣は暁に手を差し出す。
一瞬どういう意味かわからなかった暁だがもう一度
「ほら」と将臣に言われるとその手を握り立ち上がった。
「あんた・・・いい奴だな。」
将臣の後ろにいたあそびに一瞬視線を向けたあと将臣を見てそう言った。
「何か褒められてる気がしねけど。ありがたく受け取っておくぜ。
そうそう忘れないうちにと、これ貰ってくれよ。」
と、言うと握っていたあそびの手を放し
「歯食いしばれよ!」
と、突然今さっき自分が手を貸して立ち上がれせた相手を殴りつけた。
殴られた勢いで再び道路に座り込んでいる状態になってしまった。
「な、何すんだよ!」
「これは、こいつが今まで散々辛い目に合った代償だ。
一発くらいいいじゃねえか。
それにこいつはもっと嫌な思いをしたはずだしな。」
と、座り込んでいる暁を見ながら爽やかに笑う。
殴られた頬を抑えて驚いた顔のまま固まっている。
「それとあと一つ、もうこいつには会いに来るな。
これでもう終わりにしようぜ。
これ以上俺もこいつのいる前でお前をどうこうしたくない。
今なら俺もこの一発で許してやる。」
今までに見たこともない鋭い目付きで暁見つめた。
「ああ。分かった。もう会わない。
ごめんな。あそび・・・。」
ゆっくりと立ち上がると殴られた頬を抑えながらあそびと将臣に背を向け歩きだした。
途中でふと暁立ち止まり
そして「幸せになれよ。」
振り返らずにそう一言を残し暁去っていった。
そのあとも彼は一度もこちらを振り返ることは無かった。
そう言ってくれた彼に私は何も言えなかった。
さんざん迷惑をかけられて大変な目にあったはずなのに。
文句の一つでも言ってやろうと思ったのに
かける言葉が出てこなかった。
そうして去っていく彼の背中を私達は一言も発するこくなくただみつめていた。
隣にいる有川さんの手を強く握り締めたまま。
暁の姿が見えなくなって店に入ろうとした時将臣が
「お前なぁ。なんで俺を頼らねえんだよ。」
不機嫌そうにあそびを見て呟く。
「えっ・・・。」
「ったくこれだからお前は目が離せないんだよな。」
面倒臭そうに髪を掻きむしりながらあそびを見る。
「でも、まあ今日のお前随分積極的に告白してくれたしな。
1000歩譲ってこれでチャラにしてやるか。」
そう言ってニヤニヤしながらあそびを見ている。
「えっ?」
考えたら好きだの傍にいたいだの。夢中だったとはいえ将臣がいる前で
堂々と言い放っていたのだった。
「お前がそこまで俺のことを思っていてくれているとは思わなかったぜ。」
「・・・・。」
「それに俺今日お前のために頑張ったと思わねぇか?」
「はい。それはもうなんてお礼を言っていいかわからないくらい。
本当ありがとうございました。その凄く嬉しかったです。」
と、照れたように将臣にお礼を言う
「言葉だけか?」
ニヤリと笑いながらあそびをじっと見つめる。
「えっ?」
そして目を瞑ってしまう将臣。
これってその・・・。
あれだよね。
やっぱりするところだよね。
ええい!
背伸びをし将臣の頬に軽く触れる。
そして将臣から離れようとした時グッと腰に手を回され引き寄せられて
「ここじゃないだろう。」
と、唇を塞がれた。
慌てて離れようとするもガッチリ腰に手を回されているために動けない。
そして再び抵抗しようとしたあそびだったが重なる唇の心地よさに
恥ずかしいけどとても幸せな気持ちになりいつしか
自分も将臣の背中に手を回して、抱き合うように唇を重ねていた。
満たされているというのはこういう気持ちなのだろうか。
自分はとても幸せだ。
こうして好きな人がいて、好きな人とこうすることができて。
「・・・・え・・・。」
「ほ・・・い・・・。」
「ま・・・・。」
なんだか外野が騒がしいと思い少しだけ目を開けると
「!!!」
慌てて将臣から離れようとしたが強い力で
後頭部をつかまれてしまい離れることができない。
今更だが、あそび達がいたのは店に前。
そして気がつくとあそびと将臣の周りには龍神スタッフが全員揃っていた。
そんな中堂々とキスシーンを見せつけ付き合っていることが、
付き合い始めて二日目にして龍神のスタッフ全員にバレてしまう
結果になってしまった。
「まあ、いいじゃねえか!遅かれ早かれバレることは分かってたんだしな。」
なんて呑気な有川さん。
私なんてあのあと散々望美ちゃんに冷やかされ質問されて、大変だったんだから。
でも、今すごく幸せな気分。
それは好きな人の隣に自分がいて好きな人が隣にいてくれるから。
「ほら行くぞ」
当たり前の様に将差し出される将臣の手
それだけで幸せな気持ちになれる。
「有川さん。大好きです。」
将臣の手を握りそう呟く。
「ああ。知ってる。」
そう柔らかく微笑む将臣。
いつまでもこんな風に並んで歩いていけますように。
おしまい
あとがき
<span style="font-size:x-large;">お、お、終わった〜!!!</span>
内容はともかくまだ駄目駄目なところも多いのは分かっているし
未熟なのも分かっていますが!
でも、なんとか完結できて良かった゚(゚´Д`゚)゚
これもひとえに読みに来てくださった乙女の皆様
コメントや拍手をくれた乙女の皆様のおかげです!!
ほんとほんとありがとうございました!!
最後が何だか上手くまとまらなくて大変でしたが。
今はもう書き上げられたことにまず満足です。
その後反省ですが(^^ゞ
次回作は・・・。
まだ未定です。
番外編的なものとかも考えてはいるんですが
ほかもキャラのも一応あるにはありますが・・・。
まあ、今は終わったということで!はい!
<span style="font-size:x-large;">\(^^@)/</span>
おまけを下に載せてあります。
時間がある方はどうぞ!
おまけ
長一日が終わり二人での帰り道
「おい。何ニヤニヤしてるんだ?」
「えっ?いやその幸せだなと思ってたんです。」
「なんだ急に?」
「いえ。何でもないです!!さっ早く飲みに行きましょう!!」
「全くそればっかだなお前。でも、傍にいろよ。」
「えっ?」
「あそび。ずっと傍にいろよ。」
「///。・・・はい。」
おしまい
隣 5
(暁SIDE)
俺はお前を困らせているよな。
分かっていた。
お前にこういう態度を取られるのもそう言われるのも。
でも、止められなかった。
俺に厳しく俺にために親身になって怒ってくれたのはお前だけだった。
勿論親は別として。
元々三人兄弟の末っ子なために甘く育てられた俺は、なんに対しても軽く考えていた。
そして、そんな宙ぶらりんの時に一生懸命に夢にむかって
頑張っているお前にあったんだ。
底抜けに明るくて前向きで怒りっぽくてとにかく全てが俺にとっては新鮮だった。
だから俺はお前を好きになったんだ。
でも、遠距離とお前の就職をきっかけに少しずつ二人の溝が深くなり最後は俺に好きな人が
出来たことで別れた。
俺が決定的な原因を作ったのは分かっている。
でも、もしそれが無くても俺たちは続いていなかったと思う。
あの頃の俺では・・・・。
会えば働けと真剣に説教するお前にうんざりしていたあの頃の俺では。
親でさえそこまでは言わなかったのにお前はなんで
あんなに必死に言っていたんだろうな。
その事が原因で喧嘩も増えていたしな。
なのにお前は止めなかった。
社会の厳しさ、お金を稼ぐことの厳しさ知ったほうがいいと。
アルバイトばかりじゃわからないことが多いと。
でも、俺は調子の良いことばかり言って言い訳して逃げていた。
お前と別れたあと、別の女と付き合ったけどそれほど長くは持たなかった。
お前と比べたわけじゃない。
でも、つまらなかった。
そして、俺はその後すぐワーキングホリデーでオーストラリアに行ったんだ。
そこで様々な人と会い、色々なことがあった。
今も思い出してもけしていい思い出とまでは言えない。
自分の甘さを痛感させられた。
親に甘えお前に甘え自分自身にも甘かった。
その時お前が言っていたことが始めて理解できた。
こういうことだったのかと。
日本に帰って俺は必死に働いて何とか大きくはないが
今の会社に就職することができた。
もちろん実家も出て。
お前があの頃言ってくれたから今の俺があるだから、友達としてでもいい
俺はお前にそばにいて欲しい。
俺にはお前が必要だと思うから。
俺が間違った方向に行こうとしたら違うとお前なら言ってくれる
なあ、そうだろあそび。
好きな奴に会えばもしかしたら俺はお前を諦められるかもしれない
でも出来なかもしれない。
分からない。
ゴメンなあそび俺はお前を苦しめて傷つけてるんだろうな。
ワガママだと分かっているでも、俺は。
それでも・・・・。
「な、なんとか乗り切った・・・。」
一日の仕事を終えてあそびはそう呟いた。
今日一日はこの龍神に来て今までで一番疲れた一日になった。
それもそのはずだ店のスタッフにバレないように気を遣い、店の仕事も
こなしそれとなく将臣とも会話をする。
疲れない訳がない。
将臣は別にバレてもいいけどな。
なんて軽くいっているがバレるとなんて言って冷やかされるか分からない。
特に湛増あたりに。
それにそういうふうに見られるのもなんだか恥ずかしかったのだ。
そううちバレるだろうとは思うが昨日の今日でバレるのはごめんだった。
営業が終わった店内に行くとなんだかホールのスタッフが集まってなにやら
話をしている。
何事かと近づいて行く。
「ずっとですよ」
「気味が悪いね。なんだろうね。」
「ストーカーか何かじゃないですか?」
「心当たりはあるかい?」
なにやら深刻そうに話をしている。
「どうかしたんですか??」
景時の傍により話しかける。
「ああ。あそびちゃん、
何かね店の外に営業中からずっとこちらを見ている男がいるらしいんだ。
何をしてくるわけでもないんだけどこちらをじっと見ているらしくて気味が悪いんだ。
誰かのストーじゃないかってね。」
「え〜。気持ち悪いですね。店の外からじっとですか。怖いですね。」
ホールのスタッフに加わってあそびも深刻そうに頷く。
あれ?でもこういう話どっかで聞いたような・・・・。
全員が沈黙しているその時
「あっ・・・。」
あそびが小さく声を上げる。
一斉にそこに集まっていたスタッフの視線があそびに集中する。
「もしかしたら・・・・。
いやちょっと行ってきます〜!!」
みんなの視線から逃げるようにその場からダッシュで走り去る。
違って欲しいな・・・。
でも、何か嫌な予感がするんだよね。
そして、店の外に出ると
「やっぱり・・・・。」
店を遠くから見ている暁を見つけた。
あそびを見た暁は、悪びれた様子もなくあそびが出てくるのを
知っていたかの様に笑いかけてくる。
「あんたね・・・。」
少しづつ近づいてくる暁を睨む。
「あそびお疲れ様。」
「お疲れ様じゃないわよ!!」
今にも噴火しそうな気持ちをグッと抑えて強い口調で叫ぶ。
「あれ?怒ってるの?」
「あんたね。
呆れていう言葉がないわよ・・・。」
「でも,あそびがなかなか連絡くれないから悪いんだ。
返事くらいくれてもいいだろ?届いていないのかと思って心配で来ちゃったんだ。」
「・・・・。」
何を言われても上手に交わされてしまう。
何だかバカバカしくなってくる。
「あれ?どうしたの??」
何も言わなくなったあそびを不思議に思ったのか
目の前まで来るとあそびをのぞき込む。
「連絡しなかったのは悪かったけど、あんな気持ち悪いメールしてこないでよ
返事をする気が失せたわよ。」
不機嫌丸出しで暁の顔を見る。
「気持ち悪い?どこが??」
イライラしているあそびを他所に暁はいたって冷静である。
「もういい。何も言わないで。」
「??まあいいや。
それで何時になったら会わせてくれるの?」
「うっっ。」
「無理なの?なら俺も無理だよ?」
楽しいことなんて何も無いのになぜか楽しそうに笑う暁。
「会わせる、会わせるわよ。でも、まだ話してないからもう少し
待ってよ。」
「会わせてくれるんだね?そっかあそびの好きな奴に会えるんだ。
楽しみだな♪」
どこまで本気に思っているかわからないが楽しそうに笑う暁に
何か言ってやろうと口を開いたが
「好きな奴じゃないぜ。付き合ってる奴だ。」
自分ではない声が後ろから聞こえてきた。
驚いて振り返るとそこには不機嫌そうに立って暁を見ている将臣がいた。
つづく
あとがき
おはようございます〜
もう少し早めのUP予定だったんですが、子供を寝せて
いたらまさかの寝落ちに二日連続です(;´Д`)
暁視点も書いてみました。
意外にまともな人間になっていたんですよ。
色々問題はありますがね(~_~;)
いかがでしかた??
次回はとうとう最終回です。
もう一気に書いてしまいたいので今夜あたりUP出来れば
してしまいたいです。
あと一話お付き合いいただけると嬉しいです♪
次回は長めの文になりそうです(^^ゞ
だっち2011・11・3
隣 4
<将臣SIDE>
あそびが出ていったキッチンに呆然と立ち尽くしている将臣。
追いかけることも声をかけることさえ出来なかった。
というよりも、そんなことをできる時間はなかったのだが・・・。
「マジか?」
ボソリと呟く。
自分が好意を持っている相手に好きだと言われて嬉しくない
人間なんているだろうか。いや居るはずがない。
しかし、将臣の場合告げられた相手が既にここには居なく
自分の思いが宙ぶらりんのままなのだ。
「あいつ・・・。何だよこれいい逃げじゃねぇか。」
不機嫌そうに髪をワシワシと掻きむしる。
本気なのか冗談なのか。
この状況からして冗談じゃなさそうなことくらい将臣にもわかる。
では、なぜあそびは居なくなってしまったのか。
将臣は理解できないでいた。
「どうすっかな・・・。」
キッチンの台に寄りかかりながら両腕を組んで考える。
追いかける。
出ていってすぐというならこれが一番なんだろうが出ていってから
時間が経ってしまっている今は
入れ違いになってしまう可能性が高い。
なのでこれは却下。
携帯に電話する。
今は持ってねえだろうな。あいつ・・・。つーかここにあるし・・・。
目の前の棚にあそび愛用の携帯が申し訳なさそうに置いてある。
「じゃあ、やっぱここで待つしかねぇだろうな。あいつ白衣のままだし。」
そう言って溜息をつく。
でも、俺も焼きが回ったか。いつ帰ってくるか分かんねぇあいつをここで
待つなんてな。
そう言うとホールの方へ移動していく。
そして移動しながら自分がやけに冷静でいられることに驚いて苦笑いを浮かべる。
どうしても逃したくないってことか・・・。
<あそびSIDE>
「う〜。私・・・。何しているんだろう。」
お店を飛び出したものの実は店のすぐ外にいるあそびなのである。
あんな事、あんな事言うつもりじゃなかったのに・・・。
なんてこと口走ってしまったんだろう。
今更後悔をしても仕方がないのだが。
そうせずにはいられないのである。
取り消せるなら取り消したい。
取り消す・・・。
取り消してしまいたいの??
本当に?
分からない。分からない。
思っていたから出てしまったのは消しようもない事実だ。
止まる様子のない溜め息。
この店が大きな通りに面しているわけではないのだが白衣の女が店の前をウロウロ
しながら(然も溜息をつきながら)人の目につかない訳がない。
そんなことは今のあそびには関係ない話なのだが・・・。
もう、どうしたらいいんだろう。
このままにしておくのは嫌だな・・・。
じゃあ、どうするの??
冗談だって言ったってきっとバレてるに決まってる。
・・・・。
もう、あたって砕けようか。
もうバラバラに・・・。
多分有川さんならきちんと振ってくれるはず。
で、その後を引きずったりしないで、いつも通り居てくれると思うんだ。
問題は私の方だけどね。
しばらくは再起不能になりそうだけど。
でも、今のままじゃ絶対に良くない。
だから、もう一度きちんと有川さんに気持ち伝えよう。
うん。そうしよ。
ウジウジ悩んでたって仕方ないよね。
そう決心するとゴクリと唾を飲み込んだあと店に入っていった。
店に入ると既に人の気配がなく冷蔵庫のジィーという音だけが
寂しく響いていた。
「あれ・・・。帰えちゃったのかな・・・。」
気合を入れて入ってきたまでは良かったのだが
静まり返ってしまっている店内に気が抜けてしまう。
「ということは。無かったことにしよう。そういうことだよね。
もしくは冗談だと思ってくれているか・・・・。」
自分で言い出したのだがそう思うと急に悲しくなってくる。
心のスミの何処かでは、もしかしたらなんて微かな期待をしていたのかもしれない。
有川さんなら・・・なんて。
でも、現実はそんなに都合良く出来てないよね。
自嘲気味に苦い顔をして笑っている。はずだった。
でも、その瞳からは涙が堪えきれずに流れ落ちていた。
泣くつもりなんてこれっぽっちもなかった。
でも心というのか正直なのであろう。止まる様子がない。
それどころか益々溢れ出す涙。
堪えても堪えても出てくる涙はもうあそびにはどうすることもできなかった。
拭うこともせずに只々泣き続けた。
暫く泣き続けたあそびは怠い体を引きずるようにして着替え帰ることにした。
一応店から最後に帰る人は店内全てを点検することが義務になっていたのであそびも
店内を見回っていた。
そして最後に個室を見回った時だった。
「えっ!?」
個室の椅子に座って両腕を組んだまま眠っている将臣を見つけたのだ。
暫く将臣を見つめていたがゆっくりと近づくと、将臣の顔の前で手を
ヒラヒラさせてみる。
気がつく様子もなく完全に眠っているようだ。
「な、なんだ。帰っちゃった訳じゃなかったんだ・・・。」
そう小さく呟く。
個室の磨ガラスの窓から入り込む月明かりが将臣の顔を照らしている。
「疲れた顔してますね。私のせいもあるのかな・・・。」
眠っている将臣の前に両膝を付いて立つ。
そして、将臣の髪にゆっくりと手を伸ばして触る。
思ったよりも将臣の髪は柔らかくて触り心地としては悪くなかった。
「気持ちいい。って私なにしてるの!!」
触りたいという気持ちが無意識に働いてしまっていたことに驚いて
髪から手を慌てて引っ込めようとする。
「やめるなよ。」
引っ込めようとした手を強い力で掴まれ引かれる。
「あっ。」
手を引かれた勢いでバランスを崩して将臣の胸に飛び込む形になってしまった。
そして、将臣に強く抱きしめられる。
将臣の胸の中のあそびはミルミル真っ赤になっていく。
「×△&●◆!!!の、あ、ああああ有川さん。どどど、どうしたんでですか。」
恥ずかしさと驚きとで上手く言葉にならない。
何も言わずに只将臣はあそびを抱きしめている。
「あああ、有川さん??」
「嬉しかった。お前の気持ち。冗談なんかじゃないんだよな。」
「えっ?」
「俺の事好きだって言うことは冗談なんかじゃないよな。」
少し不安なのか確かめる様にあそびにもう一度尋ねる。
「・・・。
冗談なんかじゃないです。私、私有川さんの事好きです。」
そう、あそびが言うと将臣の抱き締める腕に益々力が入る。
「あ、有川さん・・・。く、く苦しいデス。は、離してもらっていいですか??」
「ダメだ。」
「えっ?何でですか??」
将臣の胸の中でモゾモゾと動き何とか将臣の顔を見上げると顔を赤くして
いる将臣と目があった。
「あっ・・・・。」
「見るな。」
再び将臣の胸の中に顔を埋められた。
真っ赤だった。
有川さん・・・。
もしかして、もしかして?!
「好きだ」
「!!!///。」
雰囲気的には何となく感じてはいたがいざ言葉にされるとそれはもうビックリするくらい
照れるのだ。
「ガラじゃねぇんだけど。お前にはちゃんと言わなきゃ伝わんないだろ。
同僚としてじゃない。一人の女として俺はお前が好きだ。」
将臣の言葉が何度もあそびの頭の中で木霊する。
「どこが良かったなんてなんて聞くなよ。おれにも分からねぇんだから。
でも俺はお前と居る時間が好きだぜ。」
そう言うと将臣はあそびを自分の腕から開放する。
あそびは、力が抜けたようにへなへなと床に座る。
そして将臣も床に胡座で座ると真っ直ぐあそびを見つめる。
「水森・・・。いや、あそび俺と一緒に居てくれないか?
恋人として。」
「///。」
あ、有川さん
カ、カッコイイデス。
かっこよすぎて。
<strong>「は、は、鼻血でそうです。」</strong>
「はっ?」
いい雰囲気だったのだがあそびの一言で台無しだ。
でも、当の本人は目を泳がせながらも大真面目である。
「そ、そんなこと言われたら私私」
今にも噴火しそうなくらい真っ赤な顔をして真剣に将臣に訴える。
そんなあそびを目の前にして呆れるどころか将臣は大爆笑しだす。
「ぶっ。告白されて言うことかよ。あははは〜。
腹いてえ〜。なんだよ、鼻血って色気も何もあったもんじゃねえな。
お前らしいって言えばそうなのかもなでも。あははは。」
いまだに腹を抱えて笑っている将臣を見ながら。
「今さっきまで好きだと言っていた人とは別人みたいですね。」
少しだけ皮肉っぽく言ってみるも
「あ?ああ。好きだぜ。お前のことはちゃんとな。」
そう優しい笑顔で言われてしまい。藪蛇だ。
そしてまた真っ赤になってしまう。
「ず、ズルイです!!」
「なんだそれ?」
「そんなこと言われたら。う、嬉しすぎます。」
真っ赤な顔で潤んだ瞳で将臣を見る。
「なっ。お前な〜。手加減できないぞ。そんな顔されたら。」
「手加減??」
「まあいい。そのうち分かるからな。」
ニヤリと笑った将臣の顔にあそびは何故か寒気を感じた。
その日から無事(?)に二人は付き合うことになった。
そしてあそびは本来の目的をすっかり忘れて浮かれまくっていたのだった。
つづく
おまけは↓
あとがき
いつもより長がくて疲れてないでしょうか?
大丈夫ですか??
将臣君(^^ゞ
こんな感じでどうですかね(~_~;)
なんだか書いてたらヒノエ君とかぶっちゃって(~_~;)
取り敢えず山場は超えました。
あと二話ああしてこうして終わってしまうと思うと何かさみしいな。
はっ。Σ(゚д゚;)まだ終わってないのに。
ムムムあと二話サクサク頑張りますね。
おまけを書いてみました。
大した内容ではないのでお時間がある方のみどうぞ!!
*おまけ*
「じゃあ帰るか。随分と遅くなっちまったなぁ〜。
今日お前んち行ってもいいか?」
「・・・・。はい?」
「もう電車ないしな。お前んち泊めてくれよ。」
「えっ///。」
「お前を待ってたから遅くなったんだし。俺達もう付き合ってるんだから
それに、この間泊まってるんだからなんの問題もないだろ?」
「えっ?」
「嫌なのか?」
「いや、そういうわけではないんですけど・・・。」
「じゃあ、行くぞ。」
「あっ。えっと。いいですけど。その・・・。
おかしな事しないでくださいね。」
「は?おかしな事・・・。なんだおかしなことって(ニヤリ)」
「///。し、知りません!!」
「ちょっ。おい待てよ。」
そしてこの夜二人に何があったかは秘密♥
おしまい☆彡
ここまでお付き合いくださいましてありがとうございました♪
おつかれさまでした。
ではまた次回!!
隣 3
あの後私はあまりの怒りでそのまま暁を置き去りにしてカフェを出て来てしまった。
でも、その直後暁メールで『連絡待ってるから♥』
なんて腹立たしいメールが届いた・・・。
それにメールが来たことでさえ腹立たしいのに文の終わりに♥マークなんて
つけてきて気持ちが悪いったらない!!
思わず携帯を投げ捨てそうになってしまったんだから。
投げつける瞬間辛うじて理性を取り戻したから良かったけど
そのまま行っていたら間違いなく携帯は悲しい結末を迎えていたことだろう。
有川さんとの件を正直このまま有耶無耶に出来るならしてしまいたいところ。
でも、彼のことだしつこく言ってくるに違いない。
言ってくるだけならまだまし、彼の場合何をしでかすか分からないところが
恐ろしい。
今日既に何度か将臣に頼もうと挑戦をしているものの、あそびの気持ちを知っている
スタッフの目を気にしつつごく自然に誘う動作を起こすのはとても大変なことのようだ。
おかげで、夜の営業が終わった今もまだ声をかけることすらできていない。
<span style="font-size:x-large;">「はぁ〜・・・。」</span>
キッチンの掃除しながら大きく溜息を付く。
早いところ有川さんに頼まないといけないって分かってはいるんだけど。
分かってはいるんだけど・・・。
何て切り出したらいいのか。
まさかバカ正直に『元彼が、有川さんに会わせろって言ってるんですよ』
って言うの?ダメに決まってる!だってもし『どうしてだ?』って言われたら
なんて言えばいいのよ・・・。
『私の好きな人だからです』って言うの?
無理だ・・・。
ていうか告白になっちゃうじゃん!!
じゃあなんて言おう。
いっその事玉砕覚悟でこのまま告白しちゃう??
・・・・。
やっぱ無理。
今断られたらマジで凹む。然も浮上できる自信もない。
同じ職場だし。以前のようにいられる自信もないし。
あ〜!!!!!じゃあどうするの!!
キッチンの台を拭いていた手を止めてその台にうつぶせになる。
「ドンドン」
気持ちの当たりどころがなく台に自分の頭を打ち付けていた。
あの野郎のせいだ!!!
「何が、『待ってるから♥』だ!キモイんだよ〜
あの馬鹿〜!!!」
とテーブルにうつ伏せになっていた身体を起こすとそう叫んだ。
「あっ・・・。」
身体を起こすと不思議な顔をしてこちらを見ている将臣と目があった。
「何してんだ、お前。」
何時からそこに居たのかは分からないがこの状況から少なくともあそびが叫んでいた
時にはもうそこにいたらしい。
「えっと、そ、そ、掃除です。」
「掃除って・・。お前なぁ。テーブルに頭打ちつけてる奴が掃除って
ありえねぇだろう。」
「・・・・。」
気まずくなってあそびは将臣から目を外らす。
何か言わなければ、何かを焦れば焦るほど言葉は出てこない。
そんなあそびを見て
「なんか変だなお前。」
それでもなんにも言わないあそびに怠そうに自分の頭をガシガシ掻いている。
「じゃ俺帰るわ。お疲れ〜」
そう言ってあそびに背を向けひらひらと自分の頭の上で手を振りながら
キッチンから出ていこうとする。
そんな将臣をみて焦るあそび。
マズイマズイこのままじゃ。何か言わなきゃ。何か!
<span style="font-size:x-large;">「好きです!!!」</span>
そう叫んだあと将臣が驚いた顔をしてあそびの方を振り返った。
あそびが口に出した言葉は将臣を引き止めるでもなく、暁と会って欲しいと
言う頼み事でもなく。
将臣への告白だった。
「えっ?」
今私なんて言った。
スキって言っちゃったんじゃ・・・。
<span style="font-size:x-large;">「ぎゃ〜!!!!
お、お粗末様でした〜!!」</span>
自分が言ったことの驚きと恥ずかしさであそびは訳の分からない
言葉を大声で叫びながらその場から脱兎のごとく逃げ去った。
つづく
あとがき
こんな感じでどうでしょうか・・・。
どうしょうか迷ったんですけど、将臣君からにしようかあそびちゃんにしようか。
結局こうなりました。
前文にも書きましたが、あと3話にします。
すみません。嘘つきなんて言わないでいただけると嬉しいです(~_~;)
さてこの後は将臣君に頑張ってもらいたいですね!
ではではまた読みに来ていただけると嬉しいです♥
だっち2011・10・26
隣 2
目の前の人物を目の当たりにしたあそびの思考は春の穏やかな木漏れ日の中から、
冬の極寒の北国に突き落とされた。
「そんなあからさまに、嫌な顔されると傷つくって。」
苦い表情を浮かべている暁。
そんなに表情に出ていただろうか。
というか、彼が現れるまで今の今までスッカリ彼の存在を忘れていた・・・。
あんなに私を悩ませていたはずの彼のことを。
有川さん効果って凄いかも。
そう思うと自然とあそびは苦笑いを浮かべていた。
そんなあそびの様子に首を傾げながら暁は、ただ黙ってあそびを見ている。
「暁。今日こそちゃんと話をしよう。」
そう言って暁を見るあそびの目には迷いはなかった。
場所を移しあそびには珍しくお酒が出されるお店ではなくカフェに来ていた。
「珍しいね。あそびが夜にこんな店に入るなんて。」
あそびの目の前に腰をかけながら暁は少し驚いていた。
「うん。だってちゃんとしなきゃでしょ。」
暁の目の前にいるあそびはそう言って真剣な眼差しで暁を見た。
「・・・。」
それに対して暁は何かを感じ取ったのであろうか気まずそうに目を逸らした。
注文したコーヒーが来るのと同時にあそびは口を開いた。
「暁。私この話をするのは今日で最後にするから。」
目の前に運び込まれたコーヒーに口をつけた後話を続けた。
「暁。」
あそびが名を呼んだだけで暁の身体がビクット震える。
「私、暁と会うの今日で最後にするから。
私、好きな人ができたの。私その人には誠実でいたい。
もし私が彼の立場で以前付き合っていた人と仲良くなんてしていたら
嫌だもの。」
俯いて自分のコーヒーを見つめている暁を見ながら話を続ける。
「だから。もう今日限り暁とは会わない。決めたから。
好きとか嫌いとかじゃなくて。分かって欲しいの。
暁だって過去の私なんかに執着してないで、前を見て行って欲しい。
過去っていうのはさよく見えるっていうか、良いところしか思い出せなく
出来ているんだと思う。
あんな事して楽しかったな。とか幸せだったなとか。
でも実際は、喧嘩や嫌な事辛かった事って沢山あったし。
だから私達別れてしまったんでしょ?
なんでもそうじゃない?壊れたものはもう元の形には戻らない。
どんなに頑張っても同じようにはならないんだよ・・・・。
今の暁はそれを一生懸命に元に戻そうとしている。
元には戻らないことを知っているくせに・・・。」
「俺は!」
あそびの言葉を遮るように暁は声を上げた。
「そんなんじゃ。そんなんじゃ・・・・。
ない」
苦しそうな表情を浮かべて一度も口を付けていない
コーヒーカップを握り締めている。
「じゃあ、何だというの?結局暁どうしたいの?!」
暁が、どうして今頃私の前に現れてまた付き合いたいとういわけでもなく
友達としてやり直したいと思ったなんて、少しも理解できない。
でも、何かがあって過去に戻りたいと思ったことだけはわかる。
何かから逃げている。
そうとしか思えなかった。
壊れたものは元には戻らないといった後の彼の表情がそう語っていた。
でも、それを聞いてあげる役目はもう私ではないと思う。
きっともっと彼のことを考えて真摯に向き合ってくれる人がいると思う。
冷たい言い方だけど。
多分今の私には彼の求めていることには答えてあげられない。
だから、私は彼に決して何があったのとは聞かない。
聞いてはいけない気がしていた。
もっと早くにこうして強く言って
彼を突き放しておくべきだったのかもしれない。
私自身も振られて別れたのだからもっと冷たくできると思っていたのに、
案外自分はお人好しだったのかもしれない。
いや、結構ハッキリ言っていたと思う。彼が図太かったのかもしれな。
でも、どうやら今回の私の好きな人発言に気持ちがぐらついたのかもしれない。
「分かった・・・。」
俯いていた顔を上げるなりそう言う。
「え?!ほ、本当?」
意外とあっさりと引き下がってくれたと気が緩みそうになった次の瞬間
「でも、このままじゃ俺も気持ちの整理がつかない。
お前のその好きって言う奴に会わせて。」
「・・・・・。
<span style="font-size:x-large;">はっ?!</span>」
暁の言った言葉に頭がついて行かずに追いついたときには大声で声を
上げていた。
好きな人って・・・。
有川さんと会うっていうこと??
・・・・。
無理でしょう。って言うか。
<span style="font-size:x-large;">「何でそこまで
あんたにしなきゃならないのよ!!!」</span>
「なら、諦めない。」
そう言って涼しい顔で冷たくなったであろうコーヒーを口に運んだ。
「冷た〜。」
そう言ってコーヒーを飲んでいる彼の顔にはもう先程様な憂いは無かった。
こここここ、こいつ〜!!!!
さっきの私の話聞いてたのか!!
<span style="font-size:x-large;">「あんた何様なのよ!!!」
</span>
あまりの怒りに
ここがカフェだということをすっかり忘れて大声で叫んでしまうあそびを
コーヒーを片手に楽しそうに見ている暁であった。
つづく
あとがき
暁最後に抵抗編という感じになりました。
いろいろ考えたんですけどシリアスで行こうかなとかも
でも、一応ギャグ小説を目指していたんので笑いを最後まで
持っていこうと思いました(笑)
更新早めとか言いつつ嘘をついてしまっていましたねm(_ _)m
あと、2、3話だと思いますのでお付き合いくださると嬉しいです♪
だっち2011・10・23
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