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主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
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昨日に引き続き
後編UPです!
やれば出来るんだ\(^^@)/

最愛の貴方へ・・・・。 後編


月森の言ったとおり次の日楽団に行くと
その話がコンマスから告げられた。

何度も何度も練習を重ね。

忙しい日々を過ごしたが月森と重ねる練習の日々に香穂子は充実感を覚えていた。
そして慌ただしいまま当日を迎えた。



とうとう、同じステージに立てる。

夢が叶うどれだけこの日を夢見てきたのだろう。
今までの二人の時間が走馬灯のように香穂子の頭を駆け巡る。

月森の背中横顔を見ると演奏する前から涙があふれそうになる。

ここで泣いちゃダメ。
だってここからが本番。
月森君と一緒のステージを成功させなきゃ。
溢れそうになる涙をぐっと堪えて指揮者に向きなおる。

どうか私のヴァイオリンが今まで一番歌いますように。

今の自分にできる精一杯の演奏をしよう。
月森君に私の演奏が届くように・・・・。






演奏は大成功のうちに終わった。
観客から
たくさんの拍手とブラボーの声がステージにいる
月森そしてオーケストラ全員に向けられた。


その後全員で祝賀会を開く予定のホテルへと移動となった。

月森と一緒に行きたかった香穂子だが気がつくと、
月森は主催者側の幹部の役員などと一緒に移動したあとだった。


仕方なく他のメンバーとホテルへと向かう。


ホテルに入ると演奏会関係者で会場は既に賑わっていた。
主催者の代表が挨拶をし、乾杯のと声を上げる。
その間も、メンバーと会話をしながら香穂子は月森を探していた。

そしてステージのすぐ前の一際大きな人の輪の中心に月森はいた。

近づくに近づけない。

すぐそこの居るはずの恋人の月森なのに。
話をすることも
そばに行くことすら出来ない。

大きなため息をついてからウエイターからワインの入ったグラスを貰うと
会場をこっそりと抜け出しテラスへと向かった。

外の空気は冷たかったが、会場の熱気の中にいた香穂子にはちょうどいい
涼しさだった。

そして、テラスから外を眺めそっと目を閉じる。
先程の演奏会の月森の演奏、大歓声、拍手が今でも耳に目にしっかりと焼き付いている。

終わったんだよね。
無事に。
そう思うと同時に目を開ける。
自分の手にもっているワイングラスをみつめながら

「やっぱり凄いよね・・・。」
そうポツリと呟く

自分が付き合っている月森が
すごい人物だということは以前から分かっていたこと。

だけど今日の演奏を実際目にして身体全身で感じると、
自分が一緒にいるこの人は本物なんだ。と思わずにはいられない。

月森の努力を知っている、
彼がどれだけヴァイオリンに真摯に向き合っているのかも。
だけど、この音色はそれだけでは奏でられない。
天才なんだと。
そう思うしかなかった。

それくらい月森の演奏は力強く繊細で囚われてしまうような音色で
あまりの演奏の凄さに圧倒されてしまった。
やっぱり凄い。

自分が同じヴァイオリンをやっているからこそ分かることがある。
悔しいという気持ちは当然同じ演奏家としてある。

少しは追いつけたかなと思うと、月森はいつもその上を軽く越していってしまう。
その思うことすら烏滸がましいのかもしれない。

でも、悔しい気持ちと同じくらい嬉しい気持ちにもなる。
彼はよく自分に言ってくれる
『今の自分があるのは君がいたから』だと
『君に出会って俺の音楽は変わったん』だと
そう言われるたびとても幸せな気持ちになれた。

自分は少しでもその演奏の月森の力になっているんだと思えるから。


でも、今日の月森の演奏を聞いて
何だか遠い存在になってしまった気がした。

あそこにいるのは自分の知っている月森じゃないのではないだろうか。

考えを打ち消すように頭を振る。

ダメだダメだとそんな事考えちゃ。月森を信じている。
その気持ちに偽りはないはず。

今日の演奏の興奮がきっと自分の気持ちをおかしくさせている。

「何考えてるんだろう私。」
グラスのワインを一気に飲み干し
先程より更に大きな溜息をついてテラスの手すりに寄りかかる。

弱いな私。
そう思うと自嘲気味に笑を浮かべる。

何年経っても強くなれない。

今だって仕方ないって、月森君と一緒に居られないのは仕方がないって
分かっている。

だけど、なんですぐ傍にいるのに一緒にいられないのかって
思う自分もいる。

もっと器の大きな人間になりたいな~。
自信がないんだよね。

いくら好きだと言われても、いくら一緒にいたいって言ってくれても、

こんなに好きなのに。

こんなに想っているのに。
あああ~~。
なんかカビが生えそうなくらいウジウジだ・・・。

今日はもう帰ろうかな・・・。

そう思って再び夜空を見上げる。

綺麗な満月。
夜空に青白く輝く月に囚われるように見入ってしまう。


「月森君みたい・・・」

手を伸ばしたら届きそうなのに、届かない。

そう思うと涙が溢れる。

なんでなんだろう。
どうしてこんなにも寂しと感じるんだろう。

ちがう寂しいんじゃない。

夢が叶ってしまって不安なんだ。

これから私達はどうなるのか夢が叶ってしまった今。

どうなるのか不安なんだ・・・。
夢がかなうまでは必死にそれに向かって進んで来れた、だけど・・・。
これからは・・・・。

心にぽっかりと穴があいてしまったとでも言うのだろうか。
高揚感とは何か違うと思っていた自分の気持ちに気がついた香穂子は、
再び会場の中に戻っていった。

中に入ると相変わらず月森は大勢の人に囲まれている。
当たり前だ。
かれは本日のメインのようなものだから。

携帯で『先に帰ります』
とメールを打ち
溜息をついた後空いたワイングラスウエイターにあずけ会場を後にした。

クロークでコートを受け取っていると

「香穂子!」
名前を呼ばれて後ろを振り返ると月森がこちらに向かって走ってきていた。

目の前で止まると不機嫌な月森が

「なぜ帰ろうとする。」

「えっ・・・。
えっと、ごめんね黙って出てきちゃって。
でも、今日は無理かなって月森君も忙しそうだったし・・・。」

「香穂子・・・。
君は寂しくないのか?」

「えっ?」

「君がこんなにそばに居るのに、触れることもそばに行くことすらもかなわないで、
君はさみしいと思ってくれないのか?」

「そ、そんな事は無いよ。
私だって・・・・・傍にいたいよ。」

「その言葉を聞いて安心した。」

「香穂子少し付き合って欲しいところがあるのだが」

「え?でも、パーティーは?」

「ああ、もう失礼すると伝えている」

月森はそう言って微笑んで香穂子の手を取ってホテルから出てタクシーに乗り込む。

移動中いくら香穂子がどこへ行くのかを聞いても行けばわかるの一点張りで
教えてくれなかった。

タクシーが止まると
先に降りた香穂子はその場所に驚く。

「ここって・・・。」

「ああ星奏学園だ・・・。」

リリの銅像の前まで来ると香穂子はここで経験した様々なこと思い出す。

ヴァイオリンとの出会い、リリとの出会い

仲間との出会い。

そして月森との出会った。

「懐かしい・・・。」

「ホントだな。」

「あの頃の君ときたらヴァイオリンもずぶの素人で、
そそっかしくって、どこか危なっかしくて、
そんな君に俺はいつも巻き込まれて、調子を狂わされっぱなっしだったな」
辛口に事を言いながらも月森を見ると優しく笑っていた。

「そんなにだった・・・かな。」

「でも一生懸命で、直向きで
音楽とまっすぐ向き合っていて、音楽を誰よりも大切にしていた。」

「月森君・・・。」

「そんな君だから俺は君に惹かれていったのだろうな。」

「私だって・・・・。
あの頃ヴァイオリンがこんなに綺麗な音で音楽を奏でる事を
教えてくれたのは月森君なんだよ。
月森君のアヴェマリアを聞いたとき世の中にこんなに綺麗な音楽があるんだと
教えられてそして私も同じように弾いてみたいと思ったんだから。」

そうだ。
あの頃は無我夢中だった。
追いつきたくていつか同じように月森君のように弾けるように、隣に並んでも
おかしくないくらいに弾きこなせるように。

「夢が叶ったんだね・・・。」
「ああ。」
そう言うと二人は何も言わずに妖精の銅像を見つめた。

「香穂子・・・。」

「なあに?」

「俺と結婚してくれないか?」

「えっ?!」

「俺は、一人前のヴァイオリニストとしてはまだまだ未熟者かもしれない。
いや、人としても決して一人前とは言えない人間だ。
だけど、俺の帰る場所はいつも君で有りたいと思う。
ずっと一緒にいる事は難しいかもしれないが、どこにいても俺が帰る場所は君の隣がいいんだ。
今と状況がそれ程変わらないかもしれない。
それでも俺は君と一緒になりたい。
帰ってきたときに一番最初『ただいま』といわれる人は君居て欲しい。
ダメだろうか・・・・・。」
香穂子の瞳から
ポロポロと溢れてくる沢山の涙。

ダメなはずがない
ダメなわけないじゃない。
嬉しい。嬉しいよ月森君。」
そう言うと香穂子は月森に抱きついた。


「ありがとう香穂子。
君を俺の全てで幸せにしてみせるから。」

「いいの。そばにいられるだけで一緒になれるだけで
幸せなの。それ以上の幸せなんてない。」

香穂子は月森の胸の中でこれ以上ない幸せを感じていた。

「愛している香穂子。」
優しく暖かい月森の言葉。

「私も、愛している。」
胸の中から見上げた月森は驚くくらい優しく笑っていて
綺麗だった。

二人は自然に瞳を閉じて熱く深い口づけをする。

愛するってこいういこと。
愛されるってこういうことなのかな。
満たされていく。

どちらともなく離れた二人は顔には自然と笑みがこぼれる。


「月森君。ありがとう。」

「いや、礼を言いたいのはこちらだ」

「ううん。違うの。見つけたの。」

「見つけた?」
不思議な顔して香穂子を見つめる月森。

「うん。でも、それが何かは今はまだ内緒。」

「君が言うことはいつも訳がわからないな。」

「いいの。いいの。
その時が来たら教えるから。」

「わかった。その時がきたら教えてくれ。」

「うん。」


見つけたよ。
二人で叶える夢が・・・。


そんな、
二人を祝福しているかのように満点の星空と月がいつまでも光り輝いていた。



おしまい






あとがき

まあクリスマスが近いということで
クリスマスプローポーズ的な感じでとって頂けたら嬉しいかな。

久しぶりに月森君を書いてみると凄く自分が彼が好きなんだと思えます。
なんて言ったって二次元で一番好きなキャラですからね。

連載のヒノエも書かなきゃですね。

まぁ、取り敢えず

(´∇`)<Merry☆Christmas月森君♥



          だっち

2012・12・22

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