今日は龍神のスタッフ全員が、もっとワインの知識を持っようにとオーナーから指示により、
スタッフ向けの武蔵坊さんのソムリエ教室が開かれている。

ワインなんてどれもそんなに変わらないんじゃないの？なんて敦盛君と話していたら、武蔵坊さんに
『水森さんは、一番前に座ってくださいね』と、恐ろしいくらいのステキな笑顔で言われてしまった。

だから今日は折角のお休で朝からゆっくり寝たいのに、お昼までワインの勉強をすることになりました。

しかも一番前で・・・・。
寝てやり過ごそうかな〜と思っていたのに。

始まってそうそう武蔵坊さんが

「終わりに軽いテストを行いますのでしっかり聞いていてくださいね。」
なんて事をサラリと言っている。

テスト・・・・。
学生以来なんですが・・・。
不安です。

「大丈夫ですよ。きちんと話を聞いていれば誰にでも分かる様な簡単なものですから。」
と言う言葉に、

「そうか、ならよかった。」
と、隣に座った九郎さんは喜んでいる。

・・・・。
そんなはずはない、九郎さん素直すぎです！
武蔵坊さんに限って簡単なんて・・・。
絶対、小さい声で言ったところとか出してき
そうだよね〜。
難しい専門用語とか。

「そんな意地悪なことしませんよ。」
ニコニコ笑ってあそびを見ていた。

「！！！」
私、今口に出してないよね！！！

オソルベシ武蔵坊。

人の心まで読んでしまうなんて・・・。

そんなことを思っていたら、武蔵坊さんの話は始まっていて早速出遅れていました。

どうやら今日はフランスワインにについてみたいです。
こっそり、九郎さんのノートを見ました。

聞き慣れないカタカナばかり。

大丈夫かな・・・。

なんだか武蔵坊さんの声が子守唄に聞こえてくる。

あまりの眠気に首がカクンと落ちる。

そんな時、私の耳元で

「おや。一番前で僕の話で居眠りですか。いい度胸ですね。御仕置きが必要ですか？」
と、妖艶な笑付きで囁かれた。

一気に目が覚めました。
いろんな意味で・・・・。
心臓に悪いです。武蔵坊さん。

ソムリエ教室は、まだ始まったばかり・・。

「フランスワインの産地は１２の地区に分けられておりほぼフランス全土に渡っており、
それぞれの産地でワインのスタイルは違ってきます。」
弁慶さんが、真面目な顔でワインについて語りだす。

「ボルドー、ブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザス、ロワール、コート・デュ・ロヌール、西南部、ラングドック＆ルーション、プロバンス、コルス、ジュラ、サヴォア」

武蔵坊さん、ものすごく真面目な顔でお話をされているところ申し訳ないのですが。

自分の国の地理も怪しい私が、フランスの地域を覚えられるんでしょうか・・。

皆もそうだよね。
と自分以外の人達をちらっと盗み見てみると。

みんな真剣に聞き入っている。

・・・・。

あっ。でも、有川さんはなんだか眠そう。

一番後ろの席で眠そうにしている将臣を見て嬉しくなって前を向く。

「わっ！！」
驚いて声を上げてしまった。

あそびの目の前に弁慶のドアップがあった。

「何をよそ見をしているんですか？
水森さん。それとも、基本すぎて退屈でしたか？」

「そ、そんなことは・・・。」
動揺しているあそびから離れていくと

「水森さんはずいぶん余裕のようですから、みなさんより一段階難しいテストにしましょうか。
ねっ？あっ、あと将臣君もですかね。」

「げっ！！」

と、将臣とあそびを見ながら怪しいまでの薄笑いを浮かべている。

「そ、そんな〜。」
思わず口に出てしまった。そんなあそびを見ながら

「では、」と何事もなかったかのように話に戻っていってしまった。

無視ですか・・・。

有川さん頑張りましょうね！！
将臣の方を見ると

「マジかよ。」とかなんとか言いながら自分の後頭部をボリボリ掻いている。

あ〜このままでは、テストで赤点確実だ。
社会人になってまで・・・。
それは避けたい。
やるしかないと思いつつも

これが終わったら何しようかな〜。
と、悠長に考えているあそびであった。

そんなあそびに気がついたのか
「水森さんはホント面白い人ですね・・・。扱きがいがあるというものですね。ふっふっふっ。」
みんなに背を向けボソリと呟いた言葉は皆に届くことはなかった。
勿論あそびにも。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　つづく





あとがき

結構前に書いたものなので今と感じが違うとは思いますが
たま〜に更新していこうと思っております(^^♪

だっち2012・４・15