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主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
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ヒノエルート8です。

貸しの代償 4


「違う。」
バタン。

「違う。」
バタン。


「イマイチ」
バタン。

試着室のドアの音と藤原君の口からのこの言葉。一体今日は何度目だろう・・・。

疲れた顔をしているあそびなんてお構いなしに湛増は再び

「違うんだよな〜」
と、否定の言葉を口にする。

「じゃあこれ、」
と、あそびの横に立っている店員に差し出す。

「また・・。」
そう呟くとたが問答無用でドアを閉められた。

あそびは湛増に部屋から連れ出されたあと、
高級そうなブティックに連れてこられ、あれやこれや着せ替え人形の
如くいろんなタイプのドレスを着せられていた。
もうかれこれ一時間近く・・・・。

始めはなんだかお姫様にでもなった気分でいたが浮かれていたが
それも3着目まで、後は只々苦痛この言葉しかなかった。

『ベースがこれだからどれ着てもそんなに変わらないと思うよ。』
と、途中で湛増に言ってみるも、

「あそびは黙ってて。」
ピシャリと少しイラついた表情で言われてしまい。
言われるがまま着替え続けていた。

でも、そろそろあそびも限界に来ている。

「どれ着たってイマイチなんだからどれでもいいと思いませんか??」
一緒に試着室に入った店員にそう愚痴っている。

「お客様。そんなことはございませんよ。現に見てください。
今までに着た中で一番お似合いですよ。
そのドレスそれにお色もデザインもお客様にとてもよくお似合いです。」
そう鏡を向いて言われる。
じゃあ、今までのはどうだったのだ?!と、突っ込みたくなったが
自分を見てみると確かに今まで着ていたのも達とは違って、意外としっくりきている。

あそびは着ていたのは淡いサーモンピンクの大人すぎず、子供すぎず、
可愛らしいシフォンのミディアムドレスだった。

「流石は藤原様ですね。お客様のお似合いのものをよくわかっていらしゃる。
さっ、お見せしましょう。」
よくわかっていたらこんなに時間かからないんじゃ・・・。
と、思いながらもこれで最後という気持ちで試着室のドアを開けた。

「藤原様どうですか?」
店員の方も先ほどと違い何だか嬉しそうに湛増に呼びかける。

他の店員とドレスを見ていた湛増が店員の声に気がつきこちらを振り返った。

「・・・・。」

「いかがですか?」
何も言わない湛増に不安になったのか店員が再び湛増に問いかけた。

「あっ、うん。・・。
いいね〜。思った以上だ。思わず見とれてしまったよ。」
少し照れたように言ったあとつかつかとあそびに近づいてくる。

何だかそんなことを湛増に言われて不覚にも照れてしまったあそびは、
俯きながら赤くなってしまった顔を隠していた。

「あそび、顔上げて?そんなに俯いていたら可愛いお前の顔が見えないだろう?」
そう優しく囁かれる。

からかわれていると思いながらも益々赤くなっていく顔を止めることはできない。

「か、からかわないでよ。」
恥ずかしさのあまり涙目になっているあそびは、少しだけ湛増の方に顔を上げた。

「あそび。よく似合ってるよ。それにその表情は反則だぜ。」
色っぽく艶のある声で囁かれる。

ズルイ。そんなふうに言われたら何も言い返せない。
それに、そんな表情している藤原君の方が余っ程反則な気がする。
現に今だって店員さんのみなさん藤原君のその顔に見とれて手が止まっているし・・・。

「じゃあ、これに決まりだね。これで」
そう言うと財布からブラックのクレジットカードを取り出すと店員に渡した。

ブラック??ブラックってたしかゴールドの上だよね??
えっ?!
藤原君何者なの・・・??
ていうよりこのドレス一体いくらなのよ??

「あの・・・。このドレスいくらですか?」
聞くのが恐ろしいがそばにいた店員にこっそりと尋ねてみる。

「えっ?はい、えっと」
店員があそびの問いに答えようとしたとき

「あそびそんな野暮なこと聞くモンじゃないぜ。」
そう言うと店員に向かって秘密と言わんばかりに
自分の口の前に指を一本当ててウインクをしていた。


聞こえていたのですか・・・。
どんな耳してるんですか藤原君・・・。
地獄耳・・・。

「は、はい。」
真っ赤になった店員を見ているのはおかしかったけれど

カードの色といい、このドレスの金額といい益々湛増に謎は増すばかりであった。

ドレスを着たあと湛増からにそれに似合ったバックと靴を差し出されて、
さすがの手際の良さにあそびは感心で言う言葉がなかった。

店を出た後あそびは、美容室でヘアメイクと化粧をされて再び湛増の車に乗せられた。

「あそびは、化粧晴えするんだね。
メイクルームから出てきたときは正直誰だかわからなかったよ。」

「何だか素直に喜べないんだけど・・・。
褒められているのか、貶されているのか。どっちなの?」

車を運転しながらチラリとあそびを見て直ぐに前を見るとクスリと笑う。

「褒めてんだぜ?勿体無いって。普段からそうしていればもっと。」
そう言いかけて無表情になって湛増は黙ってしまった。

突然話をやめてしまった湛増を不思議に思い運転している湛増を見る。

深紅の瞳と髪鼻筋の通ったまっすぐ前を見るなんとも綺麗な横顔。

あまりというか見たことない湛増の真面目な顔。

話を途中でやめてしまった湛増に『どうしたの?』
と、聞くつもりが運転している湛増のいつもとは違う雰囲気と、
特別綺麗に見える横顔に見とれてしまい話しかけるのを忘れてしまっていた。


「うん?どうしたんだい?まさか俺に見とれていたのかい?」
ニヤリと笑ってあそびに話しかける。

ハッと気がついて見た湛増はいつものオチャラケている湛増であった。

見間違いかな。
首を傾げながら湛増を見つめる。

「あれ?惚れちゃったのかいマジで?」
車を止めてあそびの顔に自分の顔を近づける。

「ち、ち、違がいます!!」
真っ赤になって湛増から距離を取るために自分側のドアにへばりつく。

「あははは。じゃあ行こうか。」
あそびから離れると車から降りる。

「へっ?」
また、からかわれた。今日だけで何度目なんだろう。
自分が嫌になってきた。




                    つづく                     


あとがき
だいたい3日おき位に更新する予定でいるんですが
スッカリ忘れていました(~_~;)
何かとバタバタしていましたので(言い訳です)
車の運転するヒノエ見てみたい!!
車の運転って男の人を更にかっこよく見せる気がする!!
あああ、突撃レポートも書きたいんですがね。
何だか時間が流れるのが早くて(^^ゞ
次回掲載予定ですので(大丈夫かな(^。^;))
あくまでも予定ですので〜
では次回もまた読みに来てくださいね!!

            だっち2011・12・10

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