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主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
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ヒノエルート 5です。

貸しの代償  1


先日の件で私は以前ほど藤原君に苦手意識を持つことはなくなっていた。
それどころか、気軽に話しかけることのできる男友達という位置付けまできていた。

意外と話してみると頭は切れるし、物をよく知っているし、
遊び人だと思っていたあそびはスッカリそんな湛増を見直していた。

時々見せる、あそびが最も苦手とする女性に対してのスキンシップだとか、
女性にかける口説き文句のような歯の浮くようなたセリフだとかを抜かせば。

でも、あの日以降湛増はあそびにはそういうような行動や言動パタリとしなくなっていた。


一日の仕事が終わり鼻歌を歌いながら着替え終わったあそびは、店の中を歩いていた。

明日はお休み♪
何して過ごそうかな〜。
溜まっているゲームをするのもいいな〜。
買い物?いいねぇ〜。
久しぶりに映画とか行っちゃう?

「皆さん!!おつかれさまでした。」
と、ご機嫌な様子で店に残っているスタッフに声をかける。

「水森あそび、これから飲みに行ってきます!!では、また来週。お先に失礼します〜。」

「また飲みに行くのか。水森。」
九郎は渋い表情を浮かべてあそびをみいている。

「いいじゃねえか。あすは休みだしな。飲み過ぎんなよ。」
呆れながらもあそびをフォローしてくれる将臣。

「そうですよね!!なんだったら一緒に行きますか?源さん。」
そんなあそびの誘いに間髪いれずに

「俺は遠慮しておく。あすは朝から稽古だからな。」
と、冗談で言った誘いをしっかりと断っている九郎に、
横にいた冗談だと分かっている将臣に大爆笑している。

「そ、そうですか・・・。」
まさか、そんなしっかり断られると思っていなかったあそびは、
やや振られたような気持ちなってしまった。

「飲みに行くのかい?」
そんな時あそびの後ろから湛増が話に入ってきた。

湛増の方を振り返り、「お疲れ様。」と、声をかけたあと

「うん。だって明日は休みだよ!!今日行かずしていつ行くの!?」

「あそびらしいね。」
と、言った後フッフッ。と、湛増で鼻で笑われた。

「そう?」
首を傾け両腕を組みながら湛増を見た。

「付き合うよ。」

「えっ?」
突然の湛増の申し出に驚いた表情を浮かべる。

「ていうのはついで、本当は少しあそびに話があるんだけど。」
笑いながら言う湛増に『どきっ』と、しながらも。

「そうなの?なら、飲みに行く?」
抵抗されると思っていたあそびに意外とすんなり了承された湛増は、
驚いた表情うかべながら

「なら、行こうぜ。」
と、遊びにに声をかけた。

「うん!出〜発!!」
と、二人は夜の街に出かけていった。




「にしても広すぎない?」
部屋の中をキョロキョロと見回しているあそびをよそに

「さてと、あそび何飲む?」
湛増はドリンクのメニューを見ている。

あそびの行きつけのお店に入った二人は『カウンター』と、
店員に言おうとしたあそびの横から湛増に
『今日は個室で』と、先に言われてしまい、
二人なのに何故か8帖ほどもある個室にいた。

落ち着かない様子のあそびに

「何もお前をとって食いやしないから安心しな。」
余裕の笑顔を向けられて

食うって・・・。
そんなことさせるものですか!!
しかも、そんな余裕な顔で。
舐めていたら窮鼠猫をも噛む
なんですからね。

悔しいので
「こちらにだってそんな気なんてサラサラないですから。」
と、お返しとばかりに余裕の表情で答える。と

「言ってくれるね〜。やっぱあそびだな。」
と、湛増は嬉しそうな笑顔で言うとで再びドリンクのメニューに視線を戻した。

「私、生ビールでお願いします〜。」
湛増にそう告げると自分はフードメニューを見始めた。

「じゃあ、俺も生にするかな。」
と、生ビール二つを店員に注文する。

「藤原君って何か嫌いなものある?」
メニューを見ながら湛増に尋ねる。

「いや、特には無いね。」


「そう。じゃあ、なすの一本漬けとタコわさでしょ、あっ、えだま」

「ちょっと待って。」
あそびがフードメニューを見ながら注文の品を湛増に確認していると途中で
湛増からストップがかかった。

「えっ?何か嫌いなものでもあった??」

「そうじゃないけどさ。」
メニューから顔を少しだけ出して湛増の方を覗き見ると、呆れ顔の湛増があそびを見ていた。

「どうしたの??そんな顔して。」

「どうしたって・・・。あそび、お前いつもそんなオヤジ臭いもの注文してるの?」

「オヤジくさい??」
湛増の言葉に顔を顰める。

「ああ、そんなもんばっか頼んでるから男ができないんだぜ。出るよ。」
そう言うと湛増は帰り支度をはじめる。
『えっ、えっ』と言いながら湛増に手を引かれて店を出ていく。
丁度生ビールが運び込まれる直前に。
待ちに待ったビールが、目の前にあるのにおあずけを食らってしまったあそびだった。

私のビール!!!!


そして湛増に連れてこられたのは、少し高級そうな割烹料理屋だった。

ここでも、個室に案内されて落ち着かない様子のあそびをよそに
湛増は手馴れた感じでドリンクの注文を済ませていた。

まだ、生ビールのおあずけを食らった恨みは残っているものの
あそびに高級そうな店の内装に興味津深々だった。

そんなあそびを見ながら湛増は満足そうに軽く笑う

「気に入ってもらえたかい?」

「えっ。あ、まあ。悪くはないんじゃない。」
内心すごく素敵だと思っているのだが
正直に言うのが何だかしゃくにさわるので精一杯の見栄を張ってみる。

「なら、良かった。此処はうちの家族がよく利用している店でね。
味は俺が保証するよ。」

「そうなんだ。」
こんな高級そうなお店。
藤原君お坊っちゃまなのかな・・・。
こんな美形でお金持ちのお坊っちゃんでしかも、女性の扱いが上手い。
モテない訳けないよね。

「失礼します。」
二人の部屋の外から声がかかる。

襖が開かれ着物を着た綺麗な中年女性が入ってきた。

「久しぶりだね。女将。相変わらず綺麗だね。」
その女性の手を取りキスをする。

で、でた!!!
女性を見るとそうせずには居られない藤原病。
ひき気味で二人を見ているあそびに気がついた女将は。

「湛増さんは、相変わらずですね。益々お父様に、似てきていらっしゃいますね。」
そう笑う。

「女将。あいつの話はしないでくれるかい。」
苦い表情を浮かべて女将の手を放した。

「それは失礼しました。
湛増さんお連れの方がいらっしゃる時は、こういう行動は控えるべきですよ。」
優しい中身も厳しさが伺えあそびは自分の事を気遣っているとすぐわかった。

いい女将さんだな。それに藤原君も女将さんの前だと形無しだね。
楽しいかも。

「女将さん。大丈夫ですから。」
と、女将の方を見て笑えば

「湛増さん、いい人見つけなさりましたね。」
と、湛増を見て優しく笑う。

いい人・・・。

違う違う。
女将さんそういうんじゃないんですから!!
首をすごい勢いで振りなが女将に詰め寄り

「女将さんそんなんじゃないんですから。
私こんなナンパやろうなんてタイプじゃないですから。女将さん!!」
そういった私は女将さん近づきすぎて引かれてしまった。


女将さんが運んできてビールで取り敢えずあそびは湛増と乾杯をして口に流し込んだ。

「美味し〜!!」
満足そうに半分ほど飲み干したグラスをテーブルに置いた。

目そして次々との前に運び込れる料理に目を奪われていた。

「夏だからね。今が日本料理の一番おいしいものが揃ってるだろう?
適当に注文しておいたけど何か食べたいものあったらいいなよ。」
湛増の言葉が耳に入っているかどうか定かではないが取り敢えず、
『うんうん』と頷いているあそび。

目の前の料理に目を輝かせているあそびに

「俺の話も耳に入らないほど、夢中なんて少し料理に妬けるね〜。」
少し面白くないという表情を浮かべている
湛増に全く気がついていないあそびに
『はぁ〜』と、軽くため息をついて頬杖を付いた。

鮎の塩焼き、鱧のお造り、芋茎のおひたし、うなぎの白焼きどれもこれも、
夏にしか食べられな料理。
あそびの喉がゴクリとなる。

「藤原君、ねぇ食べてもいい?」
嬉しそうな顔で無邪気に湛増に尋ねてくるあそびに少し不機嫌だった湛増も、

「全そんな無邪気に・・・。
本当にしょうがないねぇ。お前のために注文したんだ好きなだけ食べな。」

「わぁ〜い!!やった!!ありがとう。」
この世の幸せと言わんばかりの笑顔で
目の前の鮎を口にパクリと入れる。

「美味し〜くて死にそう!!」

「あそびは大げさだね。」

「そんなことない、ほら藤原君も食べてみなよ!!」
ごく自然にあそびは自分の食べかけの鮎を湛増の目の前に差し出した。

驚いて目を丸くしている湛増に『どうして食べ』と、言いかけて

「あっ!!ごめん、これは私の食べかけでした。」
と、箸を引っ込めようとした。

「いや、これでいい。」
引っ込めようとしたあそびに手を掴み箸にあった残りの鮎をパクリと、
口に放り込んだ。

「うん。旨いね〜」
ニヤリとあそびを見て笑う湛増。

鮎が無くなって軽くなった箸だけを握って動かないあそびに

「誘ったのはあそびだからね。」
余裕の笑を漏らしながらそう言った。

そして「日本酒でも頼もうか。」
と、言った湛増のその言葉はあそびには届いていなかった


藤原君私の食べかけの鮎食べたよね??ギャア〜!!


「ふ、ふ、藤原君!!今、あ、あ、鮎食べたでしょ!!!」

「ああ、だってあそびが食べろって言ったじゃん。」

言ったじゃんってなら食べろと言われれば何でも食べるんか〜い!!

差し出したのは私だけど、食べないよね普通。食べる?
いや、食べないよ。
恋人や家族でもないんだから。

飲み物とか切り分けたのならまだわかる。
藤原君の食べたのは私のかじりかけの鮎だよ!!
まだたくさんあるのになんで食べるかな。
流れで差し出しちゃったけど、一瞬藤原君だって止まっていたじゃない。
なのになんでそれを食べちゃうかな〜。
然も、あのしてやったり顔。

なんであんなに余裕なのよ!!
いつも。

恥ずかしくて照れているのは私だけなの!!
なんか悔しい!!


「あそび、いい加減自分の世界からこっちに帰って来いよ。」
呆れながらも楽しそにあそびを見ながら日本酒を煽っている湛増。

「し、失礼しました。帰ってきましたって元々藤原君が私の鮎を食べてしまうからでしょ。」

「さっきも言ったけど進めたのはあそびだぜ?」

「そうだけど、普通は食べないよね??」

「普通とかよく言うけど、じゃあさ普通って何?」

「・・・・。」
そう言われれば普通ってなんだろう。

「答えられないだろ。俺は俺人は人。それでいいだろ。」

最もな答えです。
ここで一般的とか常識的にとかは藤原君には通用しないみたい。

でも、俺は俺か。
大事なことなのかもしれないな。
湛増の言ったことに何だかやけに納得してしまっているあそびであった。




                   つづく




あとがき

書いていた時期が夏だったのであれれという感じです。
今時期の方が色々イベントがあって書きやすかったんですが
なにせ書き始めたのが春先だったので(^。^;)
イヤハヤ(;^ω^)
では次回もまた読みに来てくださると嬉しいです!!



           だっち2011・11・30

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