ヒノエルート１８です。

貸しの代償　13


トイレに入り自分の身なりを鏡で確認する。

あ〜。スカート少しシワになってる・・・。
さすがにあそこで横になるんじゃなかったな・・・。
なんて鏡の前で自分のスカートの後ろの部分を見ていた時だった。

『ドン』
何かというより誰かにぶつかられる。

「あっ。」
ぶつかった衝撃で前に転びそうになる。

履きなれていない靴のせいでかなりよろけたが何とか堪えた。

文句を言ってやろうとぶつかった人の方を振り向くと、
あそびに背を向けて高級そうなドレスを着た女性が２人立っていた。

「ちょっと。危ないじゃない。」
ムッとしたっ表情でその女性の二人に声をかけた。

「あら、ごめんなさい。見えなかったものだから。」
口では謝っているようだがこれっぽっちも反省をしていないと言うことは
その態度が物語っていた。

「見えなかったって・・・。」
小さく溜息を付いて反撃しようとも考えたのだが
これ以上ここでこの人たちと関わりたくない、
と考えたあそびはそのまま背を向けてその場を去ろうとした。

「ちょっと待って下さる？」
二人のうちの一人があそびに近づいて来る。

「何ですか？」
と、振り返ろうとしたとき視界が歪む。

えっ？
それに冷たい・・・。

鏡を見ると近づいてきた女性にの手には洗面所に置いてあった花瓶があそびの頭の上で
握られておりその花瓶に入っていたであろう水を頭からかぶって、
その水が頭から顔にそしてドレスに滴って濡れている自分が写っていた。

えっ？私に何が・・・。

一瞬ことで何が起こったのか理解できない。


その女に人は手にもってた空になった花瓶を洗面所に置いた。

「貴方自分が今日このような場所に相応しいと思っていらっしゃるのかしら？
ダンスもまともに踊れない、どこの誰かは知らないけど。
ちょっとばかり湛増様や弁慶様から、
ちやほやされているからっていい気にならないでいただきたいわ。」

「いいきって・・・。」

「貴方みたいな子がここにいると迷惑なのです。もう帰っていただけます？」
そう言うとバックから財布を取り出すと、何枚かお札をあそびに渡すと。

「タクシー代とクリーニング代ですわ。お釣りはいらないわ。とっておいて。」
そう言うと二人はトイレから出ていった。

きつい花の香を残して・・・。

ただ呆然とあそびはそこに立ち尽くしていた。
ポタポタと頭から落ちる水滴を見ながら・・・。


なんでこんなことに・・・。

怒りよりも疑問の方が先に起こる。

私が何をしたというの？？
ヒノエ君と弁武蔵坊さんにチヤホヤ？

そんなんじゃないのに・・・。
ただ私は・・・。

でも、いい気分になっていたのは確かかもしれない。

「罰があたったのかな・・・。」
素敵なドレスを着て普段来られないような素敵な場所に連れてきてもらって
美味しいものを食べて。
決して自分が望んだことじゃないけど。
でも、少しはいい気分だったことは確かかもしれないよね。

そう思いながら鏡に映った自分はなんとも惨めで情けない。

折角ヒノエ君にえらんで貰ったドレスなのに。
こんなになっちゃった。
怒るかな。
苦い表情を浮かべて力なく笑っている。

水で濡れてしまってところどころシミのように水がしみていた。

そして先程の女性に手に握らされたお札を見て。

悔しい気持ちが一気にこみ上げてくる。
確かに少しはいい気になっていたかもしれないけど
でも、ここまでしなくたって・・・。

こんなものこんなもの。


手に握らされたお札を手でぐしゃリとして床に投げつけようとする。

「こんなもの！」
そう言って振り上げた手に力を入れた。
でも、力なく振り上げた手を降ろしてしまった。

そして落ちてきたのはお札ではなくあそびの涙だった。






　　　　　　　　　　　　　　　　つづく



あとがき
ヒノエルートなのにどうしてヒノエが出てこないのか(^^ゞ
次回も実はご出演ないのです(-_-;)
その次は久しぶりにご出演予定です。
久々にヒノエ君に会いたいです。
でも、いま遥か３プレイ中でまさにヒノエ君攻略中ですので(*´∀｀*)
ではでは次回のお会いできるのを願っております。



　　　　　　　　　　　　だっち2012・2・21

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