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主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
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将臣ルート 11です。

昔の彼氏 ⑧



 

お互い何も話さずに歩いている。

あそびはさっきの事を聞かれるのではないかと内心ドキドキしていた。
上目遣いでチラチラと将臣を盗み見る。

「うん?なんだ?」
と、言ってあそびの視線に気がついたのか
将臣は少しだけあそびの方に顔を向けた。

「いや、な、何でもありません。」
首を小刻みに振りながら将臣から顔を背ける。

「何も聞かね〜よ。」
将臣はボソリと一言呟いた。

「えっ?!」
驚いた顔で背けた顔を再び将臣の方へ向けるとまっすぐ前を見ているせいで
どんな表情かははっきりとはわからなかったが、

「聞かれたくないことぐらい一つや二つくらい誰にだってあるだろう?」
そう、言ってあそびを見た表情はとても柔らかかった。

あそびは、不覚にもそんな将臣に見とれてしまっていた。

「だから、何も聞かね〜よ。でも、なんか困ったことがあったら
遠慮しないで言えよ。」
最後の方はあそびから視線を逸らして少し照れながら自分の頭をワシワシと掻いていた。

「有川さん・・・。」
将臣の横顔を見上げながら小さく『ありがとうございます』とあそびは呟いた。


有川さんて本当おにいちゃんみたい。
頼り甲斐があって、なんにも見てなさそうでちゃんと相手のこと見てる。
面倒くさがりやだけど、頼られるとほっておけないんだよね。
望美ちゃんが頼りにしてるのもわかるな〜。

あれ?そう言えば有川さんって平家の人たちと飲みに行くんじゃなかったんだっけ??

「有川さん。つかぬことをお聞きしますが、飲みにいかなかったんですか??」

「あっ。やべっ」

「えっ?!」

「参ったな〜。すっかり忘れてたなぁ〜。」
苦笑いを浮かべて将臣は腕時計を見て、『う〜ん』と、唸っている。

「今からでも間に合うんじゃないんですか?」
腕時計とにらめっこしている将臣に話しかける。

「まぁ〜。そうだな。」
なんだか歯切れの悪い返事をする。

考えてみれば将臣がなぜあの場所にいたのかあそびは今頃になって気になっていた。
みんな飲みに行ったはずなのに・・・。

「有川さん、今更なんですけどなんであそこにいたんですか?」
素朴な疑問を将臣にぶつけてみれば

「あ〜。あれだ、忘れもん取りに戻った。」
少し狼狽えたようにも見えたがなんの疑いもなくあそびは将臣の答えに納得した。

「そうだったんですか。以外とドジですね。」
そう言って将臣に笑いかける。

そんなあそびを見て安心したように将臣も笑い

「うるさいぞ。それよりどうだ、今からお前も行かないか?」
と、あそびを誘ってきた。

誘われると思っていなかったあそびは驚いたように目を丸くして
「飲みにですか?」
と、笑っている将臣に確認する。

「ああ。」

「・・・。」

「まあ、無理にとは言わないがこんな日は酒でも飲んでパーと騒いだらどうだ?」
そう言ってあそびの頭に手をおく。

「そう・・・ですかね?」

「ああ、何より酒好きのお前には合ってる気がするけどな。」
頭から手をどけるとあそびを見て再び笑った。

「じゃあ、行こうか・・・。」
言いいかけて、

ちょっと待った。
このビーサンで行くの?


立ち止まり自分の足元を見るあそび。

いや〜。
変じゃないですかね。
今更ですけど。
知盛さんあたりに絶対何か言われる。
あっ!!
でも、望美ちゃんと知盛さんが一緒にいるところを見る絶好のチャンスじゃない??
ビーサンか二人かビーサンか二人か・・・。

スッカリ自分の世界に入り込んでいるあそびに、少し先で立ち止まっている将臣は
呆れた表情を浮かべながらも

「おい、水森。どうすんだ?」
と、再びあそびに尋ねる。
将臣の声に我に返り

ええい。ここまで来れたんだビーサンがなんだビーサンが!!

「行きます!!」
と、いつものあそびらしく元気一杯に答える。
一瞬驚いた表情をした将臣だったが

「おっ、水森らしくなってきたな。」
と、笑うと

「じゃ行くぞ。」
と将臣はあそびを気にしながらも再び歩きだした。

「あっ!待ってくださいよ。このビーサン歩きにくいんですから。」
と、先を歩く将臣に駆け寄っていく。

「よく見ればおかしな格好だな。」
と近づいてくるあそびを見ながらケタケタ笑う。

「う〜。これ選んだの有川さんなんですからね。
さぁ〜。飲みますよ!!!」
と、将臣に追いついたあそびは将臣の横で両手をグーにして上に上げる。

「恥ずかしいやつだな。お前は・・・。」
そんなあそびを呆れ顔をで見ている将臣にちょっぴりだけ舌を出して

「いいじゃないですか。早くいきましょう!!」
と、将臣の背中に回り押す。

「おいおい、ちょっと待て。」

「まてませ〜ん。」
と、言った後『<span style="font-size:x-small;">ありがとうございます。有川さん。</span>』
聞こえるか聞こえないかの小さく言ったあそびの言葉は、しっかりと将臣の耳に届いていた。

 

 

 

 


                            つづく

 

 


あとがき

一応昔の彼氏編は終わりです。
このあとの飲み会を書くのかどうか迷い中です。
スルーという必殺技があるんですが・・・。
どうしようかな・・・。


急にコルダが書きたくなってきました。
加地君あたり。
時間と余裕があれば書きたいと思います。

 

                     だっち
                2011・8・22            

                    
                  

 

 

 

 

 

 

                    

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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