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主にネオロマ、乙女ゲームの二次、夢小説を連載しております。
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将臣ルート16です

決着  3

暁から連絡があった日の次の日メールで次の休日の夕方に
あそびは暁と会うことになった。

そして今日がその日であった。

行きたくないなぁ〜。
部屋にある時計を見ながら出かける時間が刻々と近づいてくる。

会うといった、手前会わないわけにはいかない。
それに嫌なことを先延ばしにしていてもいずれは
何とかしなくてはいけないことなので、重たくなった気持ちを引きずり
ながらあそびは出かける支度を始めた。

特にオシャレをする必要もなかったが、待ち合わせがセレブやおしゃれな人が
集まるところということもあって
まさかいつものジーパンにTシャツじゃああんまりかなと思い、
爽やかなアクアブルーベースのチュニックを着てタイトなジーンズを履く
靴は夏らしく少し踵の高くなったサンダルを履く。
化粧はいつもより念入りにするくらい。
相手が相手だけに。

気合を入れて変な誤解をされても嫌だもの。

そして、時計を見て慌てて部屋を出た。

真夏なだけに夕方といえどもまだ暑い。

そして、待ち合わせの場所に約束の時間より少し遅れて到着した。

勿論、待ち合わせていた暁は既にあそびを待ちわびた様子で立っていた。

「あそび〜。こっち!」
待ち合わせ場所についたものの思ったよりも
人が多く思うように暁を見つけられずにいる。

そんな時遠くから自分の名前を呼ぶ声がした。

キョロキョロと探していると『グイッ』と、手を引かれた。

「あわわ〜。」
急に手を引かれたので体のバランスを崩しかける。

「あそび」
聞きなれた声でそう優しく呼ばれる。

「暁。」

「おっ。久しぶりにあそびに名前で呼ばれるとなんだか擽ったいね。」

「・・・。」
あんたって。
何てオメデタイ人なの。

「手を離して。」
掴まれた手を振りほどくと暁をきつく睨んだ。

「怖いよ。あそび、さっ行こうか。この先にいい店を見つけてあるんだ。」
あそびのキツイ睨みにも動じずニコリと微笑むと振りほどかれた手を再び
掴み歩き出す。

「ちょっ、放してよ。」
そんなあそびの言葉に耳も貸さずに目的の場所に向かう。

「たぶん、あそびも気に入ると思うんだ。」
これって私の言葉を聞くつもりはないということなんだよね。
『は〜。』小さく溜息をついた。

大丈夫かな今日。
ちゃんと私の気持ち分かってくれるかな。
分かってもらうと意気込んで来たけど何だか段々不安になってきた。
あ〜!!ダメダメこの手に落ちては分かってもらうしかないんだから。
弱気こそ最大の敵だよね!!

暁に連れてこられた店に入ると炭火の臭い魚を焼くいい匂いが立ち込めていた。
そこは漁村を思わせる店の作りになっており、
どうやら魚介類をウリにしている炉端焼きのお店のようだった。

店の様子がすっかり気に入ったあそびは嬉しそうな顔で、店を見回している。

「やっぱりあそび気に入ってくれたようだね。
前からこういうの好きだったもんな。」

そう言って笑う暁に私は何だか胸が苦しくなってしまっていた。

悪い人ではないから、嫌いになれなかった。
自分勝手で甘ったれで常識も少しおかしくてどうしようも無いけどでも、
自然に人に気をつかったり、周りを和ませようとしたりいつもしていた。

裏表もなく友達も多くてお金はいつもなかったけどそれでも楽しかった。

「座ろう?」
黙って暁を見ているあそびに困ったような表情を浮かべながら声をかけた。

「う、うん。」
二人はカウンターに並んで座る。

「あそびは、ビールでいい?」

「うん。」

「相変わらずなんだね。」
店員を呼んでビールを二つ注文する。

「さてと、」
と、食べ物のメニューを見始める暁。

「暁。」
あそびは、静かに暁に呼びかけた。


「なに?なんか気になる食べ物あった?」
メニューからあそびへと視線を移す。

「暁。」
真っ直ぐ暁を見つめて真剣な表情でもう一度あそびは名前を呼んだ。

「なに?どうしたのそんな真剣な顔して。」

「暁。私が言いたいことわかるよね。もうわかってるんでしょ?」
暁はあそびから視線を逸らし再びメニューを見始める。

「暁。私」

「俺、諦めないよ。何もまた付き合ってっていっているわけじゃないし。
もう一度あそびとこうやって遊びに行ったり飲みに行ったり話をしたいだけ。」
視線を合わそうとしないものの暁からは強い意志が感じられる。

「暁。」

「あそび、お前と別れたことは未だに後悔してる。だから、恋人になんて
戻れるなんて思ってない。
でも、それで縁が切れるなんて俺は嫌だ。
俺から振っておいて都合のいい話だと分かってる。
でも、今更だけどお前だって悪いんだ。仕事仕事っていって全然
俺に構ってくれなくなって。
寂しかったんだ。」
寂しそうに視線をそらしテ-ブルを見つめている。

「暁。寂しかったのは私だって一緒だよ。なのに。暁私を裏切って違う女の人の
ところに行ったんだよ。私の話に耳も貸さずに。
どれだけ辛かったかわかる?」
俯いて膝の上の自分の手を握り締める。

「それは・・・。」

「暁。私の答えはNO。これ以外は無いの。
私はあんたのことを憎んでいるわけでも嫌っているわけでもない。
別かれる要因を作ったのだって少しは私にだってあるってわかってる。
それでも、私は、今の私には暁は必要ない。」
冷たいようだけど今の彼にはこれくらい言わないと分かってもらえない気がして。

冷たい女だって思ってもらっていい。
これだけは譲れないから。

黙ってしまった二人に注文したビールが置かれる。
どちらも口をつけようともせずにビールの泡が静かに消えていく。

まるで私たちが付き合っていた時間のように。
私は黙ってその泡が消えていくのを見ていた。

   


                         つづく

 

 

あとがき

シリアスゾーン突入かな??
イエイエ目指すはギャグ小説ですからね。
続かないと思いますよ。
暁(さとる)嫌な奴と思いますか?
何か書いていて都合のいいやつと思っています。
実は彼のような人は実在するのです(笑)
世の中にはいろんな人がいますからね。

だから楽しいんですが。
将臣君次回登場するか微妙です。

将臣ルートなんだけどなぁ〜。

ではでは、次回もお会いしたいですね(^^♪

 

                    だっち
                  2011・9・12

 

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