決着　　４

 

どれくらいそうしていたであろう。
私は無意識にビ－ルの入ったグラスについた水滴を指で拭っていた。

「あそび」
そして暁は何も言わずビールにも口を付けようともしないあそびを困った
様な表情で見つめる。

「ナニ？」
視線は相変わらずビールの入ったグラスに向けられたまま返事をする。

「俺、あそび困らせてるよね。」
力なく言う言葉にあそびは暁を見る。

「自覚あるんだ・・・。」

「厳しいね。」
今にも泣きそうな顔で暁は笑う。

彼はよく泣く。私なんかよりもずっと。
彼は、純粋な心を持っているのかもしれない。
でも・・・。

「そうかな。」

「うん。昔からあそびは俺には厳しかったよな。」
遠くを見ながら懐かしがるかのように含羞む。

「それは、」

「わかってるって。俺がいつも甘いことばかり言ってたからだろ。」

・・・・。

無言のあそびを一度見たあと暁は再び話を続けた。

「でも。もう後悔したくないんだ。俺はさっ。」
暁何かを決意したかのように話し出すのを聞いてあそびは

「さとる！！」
大きな声で話を遮った。

驚いてあそびを見た暁。

「もう、やめにしようよ。過去のことひほじくり返したって何にもならない。
あの時こうしておけばよかったとか、なんでこうしてしまったのかとか。
今更言っても無意味だよ。
だから、もし今暁が過去のことを何か言おうとしてるなら、止めて。」

「・・・・。」
黙って下をむいてしまった暁。

「ねぇ。もし暁が私のこと少しでも思っているならこんなことできないと思う。
だって、そうでしょ？
今暁がやっていることって私の気持ちを無視してるってことだよね。
ただの自分勝手だよ。
人に自分の気持ち押し付けて人の気持ちを考えない。
昔の暁なら少なくとも私の付き合っていた頃の暁こんなことはしなかったと思う。」
私は彼にひどいことを言っているのかもしれない。
今の暁を過去と比べている。
もしかしたら彼は何も変わっていないのかもしれない。
そして、過去にはそんな暁好きだったのかもしれない。
でも、あそびももうあの頃とは違う。

言い返してくるだろうと思っていた暁は、俯いたまま何も言わない。

「暁。もう止めない？こんなくだらないこと。私になんでそんなに執着するの？
暁なら友達なんて沢山いるでしょ？」

「くだらないか・・・。」
ボソリと暁力なく言った後自嘲気味に笑った。

「私はそう思う。」

「俺は、俺は。」
カウンターの上に置いた両手をギュッと握り締めた。

「もう一度お前と」
あそびは、今一番暁言って欲しくない言葉を言われようとしている。

そのことにあそびも気がつく。

「止めて！！それ以上何か言ったら私暁を許せなくなる。」
鋭い目付きで暁睨み叫んだ。

「もうこれ以上話をしても無駄。今日はこれで終わりにしよう。」
と、言ってあそびは席を立ち暁を残して店を出た。

結局何の決着も付けないまま。

私も結局逃げてるだけかもしれない・・・・。
彼にもしそう言われたらどうなるのかわからないから？？
ううん。違うそれはない。
じゃなんで、彼を嫌いになりたくないんだろうか。

「は〜」
と、大きなため息を付いて夜の街を歩く。
夜といえどもまだ暑いくらいだ。

いくえさん呼んで飲み直そうかな〜。なんて考えていたら

「水森じゃねぇか！」
そう声をかけられ声の方へ振り返ると
無邪気に笑ってあそびを見ている将臣が立っていた。

　　　　　　　　　　　　　　つづく

あとがき

変なところで切ってしまったので更新早めでいきますね。
サクサク決着させようなんて甘かった・・・。
将臣君頑張って動いてください！！
他力本願ではないですよ。
私の脳内将臣君にお願いしてるんです(*´∀｀*)

SYKの悟空が頭から離れなくて将臣君がゴクウ化しないように
気をつけないと。
では、では、また遊びにきてくださいね(*´∀｀*)

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　だっち
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2011・9・17

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