「つ、疲れた・・・。」
今日は望美と明日のバレンタインのチョコを買いに出かけていたのだった。
将臣のチョコをしっかりと購入したあとで店の方のメンバーのチョコも
買い長時間人混みなんかにいたせいで相当な疲労感が残ってしまっていた。
自分のマンションの前に着くと安心したせいか一気に疲労感が襲ってくる。
自分の部屋に入るなり携帯が震える。
鞄から携帯を出すと将臣の名前が表示されていた。
あそびは慌てて電話に出た。
「もしもし。有川さんどうしたんですか?」
「おう。お前今暇か?」
「また突然ですね・・・。今、ですか?」
「ああ。」
「私、たった今家に帰ってきたところなんですよ。」
「ああ〜望美と出かけるとか行っていたなそういやぁ。」
「はい、忙しくはないんですけどちょっと疲れちゃって・・。
どうかしたんですか?」
「疲れてんのか・・・。」
「何かあったんですか?」
「いや特に用という用はないんだけどな。」
受話器越しに何か独り言を言っているのかはっきりとは聞こえはしないが
ぼそぼそと何か言っているようだ。
そして次に将臣の口から出た言葉が
「お前んち行っていいか?」
これであった。
「えっ?ウチですか??」
突然の将臣の申し出に驚く。
「ああ。飯でもと思ったんだけどなお前も疲れてるみたいだからな。」
「えっと。その・・・。」
「ダメ・・か?お前が嫌ならやめ」
「嫌じゃないです!じゃないですけど・・。」
「けど?」
「ワザワザうちに来て貰ってその・・・いいんですか?」
好きな人に会えるのは嬉しいのだが正直今の疲れた状態で
出かけたりするのは少々辛く感じていた。
「ああ。構わないぜ。お前さえいいんならな。
それにたまには家で二人でゆっくりするのもいいじゃないか?
晩飯俺が何か作ってやるよ。」
二人でゆっくりという言葉にトクン心が一つ跳ねたがそのあとに言われた言葉が
疲れている自分にはあまりに嬉しくてそちらの方に頭が反応してしまって
「えっ?ホントですか?!」
と、突然元気な声になってしまっていた。
「正直な奴だなお前は・・・。でも、まあいいか。
買い物してから行くから少し時間掛かるぞ。」
「はい。部屋をきれいにして待ってます〜。」
「ああ。全く現金に奴だなお前はじゃあな。」
電話を切ったあと大急ぎで部屋の掃除を始める。
将臣と付き合うようになってからお互いの家を行き来することが多くなっていたので
部屋が悲惨なほどに散らかっているということは無くなったものの、今見る限りでは
凄く綺麗とは言い切れない部屋であった。
パタパタと走り回って部屋を片付けて行く。
そして数十分後部屋を見回して
「これでよしっと!」
そう言うと同時に家のチャイムが鳴った。
インターホンにでてオートロックを開けた後、将臣を出迎えるために玄関に向かった。
向かったのはいいのだが
「あっ・・。これ・・。」
玄関に置いてあるものを見てそう呟く。
部屋を片付ける事に夢中になって明日将臣に渡すために買ってきたチョコレートが
玄関に置きっぱなしになっいていたのであった。
「か、隠さなきゃ!」
手にチョコを持って大急ぎで部屋に戻ろうとしたとき
『ピンポーン〜』
無情にも部屋のチャイムが鳴る。
「!!!」
大急ぎで部屋に戻り取り敢えずその辺にあったクッションの下ににチョコレートを突っ込んで
「は、はい。い、今開けます。」
外にいるであろう将臣に大声でそう叫んんだ。
「お、お待たせです。」
それほど広い部屋でないはずなのに息を切らして現れたあそびに首を傾げながら、
将臣は部屋の中へ入った。
「有川さん!!スッゴク美味しそうです!!」
目の前に並べられた将臣の作った料理を見ながら目を輝かせているあそび。
「んじゃ、冷めないうちに食うか。」
将臣があそびの家に来て一時間もしなうちに
手際よく料理を何品かあっという間に作ってしまった。
そしてその料理を目の前にして目をキラキラと輝かせているあそびを見て
将臣もまた笑顔になる。
「座りましょう!」
そう言ってお互いクッションの上に座った次の瞬間
『グシャ』
あそびの座った場所から何かが潰れた音と柔らかい感触がした。
「えっ?」
その音に気がついたのか将臣もあそびのクッションを見る。
「何か下にあったんじゃねえのか。」
「なんか?!」
もしかして・・・・。
将臣に見られないようにそっと自分の下を見る。
「!!!」
やっぱり・・・。
そこには見るも無残な姿になったチョコレートの箱があった。
スクラップ・・・。
見事にペチャンコ・・・。
小さく溜息をついたのを見ていたのか
「どうしたんだ?何かふんだんだろう?」
将臣があそびのクッションの下を見ようとする。
「イヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤイヤな、何にも踏んでませんよ。
大丈夫です。さっさっご飯食べましょう!!」
と、激しく首を左右に振って強引に話を逸らして将臣にお酒を注いだ。
訝しげな表情を浮かべてあそびを見ていたのだが注がれた
ビールが溢れそうになってしまったのでグラスに口をつけた。
あそびの下にあるのもの話題に触れまいとあそびは将臣に必死に話しかけた。
そのあともたわいもない話をしながら食事を進めていった。
「有川さんスッゴク美味しかったです!!私も見習わなきゃですよね。
後片付けは私がやりますから」
と、相当満足したのかご機嫌で空になった食器を台所へ運び始める。
「ああ頼むな〜。」
そう言って将臣はグラスに残っていたお酒を一気に流し込んだ。
台所では
あああ〜どうしよう・・・。
明日のチョコ・・。
折角買ったのに。コンビニってわけにもいかないよね。
今から買いにってもう夜遅くてやってるわけないし・・・。
まさか店の人と共同で終わりったわけにもな〜。
何してるんだか私のバカ!大バカ!!
大きなため息を付いてから再び残りの食器を取りに将臣のところへ戻る。
纏めておいてある食器を見て
「有川さんありがとうござって・・。あああ!!それ!!」
「うん?なんだ?」
あそびの悲鳴にも近い大声にも動ぜずにいつも通りの将臣。
「そ、その手にもっているのって、も、もしかして。」
「ああこれか?チョコだろ?」
「そうですね。チョコってちが〜う!!私が言ってるのは」
「ああ。お前の暫く下敷きにしていたチョコだぜ。」
「!!!」
バ、バレてたんだ・・・。
「俺にだろ?」
「えっと・・・。」
「違うのか?」
「そ、そうですけど。でも、それ・・・・。」
「まあ、見た目は何かわからない物体だけどな」
そういって笑う将臣。
「す、すみません・・。」
しょんぼりとなってしまったあそびに
「気にすんなって形が悪くてもチョコはチョコだろ?
でも、そうだな。甘さが足りない気がするな」
そう言って手にとったチョコを見ている。
「えっ?有川さんって甘めのチョコの方が好きだったんですか??」
望美情報では甘さ控えめなチョコの方が好きだと聞いていたのだった。
「そうだな〜。とびきり甘いチョコが好きだぜ。」
「そうだったんですか!じゃあ、ビターな今のチョコじゃ物足りないですね。
来年は甘いのにしますね。」
「じゃあお前今からこれ甘くしてくれないか?」
「えっ?今からできるんですか?粉砂糖降るとかですか?」
「ちょっと耳かせ。」
そう言って将臣はあそびの耳元で何かを囁く。
「///。」
聞き終わると同時にあそびの顔がみるみる真っ赤になっていく。
「形も悪いし甘さも足りないしそうすれば両方解決出来るだろ?」
「あ、あ、有川さん!!そ、そんなことで甘くなるはずがないじゃないですか!」
「試してみなきゃわかんねぇだろう?な?」
嬉しそうな表情をこちらに向けて相槌を求める。
なっ!て・・・。
「そう言えばほ、ほら、ま、まだバレンタインじゃないですから。ただのチョコです!」
「おいおい。時計見てみろよ」
ニヤリと笑いながら時計の方を指を指す。
「0時過ぎてる・・・。」
時計を見た後間近にある将臣の顔にドキッとしながら目を離せないでいる。
「あそび・・・。」
そう優しく囁かれる。
「有川さん・・・。ズルイです。」
そいういと将臣の手にあるスクラップになっているチョコを一つ手に取り
自分の口に入れた。
「来年はこういうことないようにとびきり甘くて形のちゃんとしたチョコ
用意しますからね!」
照れたように拗ねたように
そう言うとあそびは将臣の膝に乗りそのまま将臣の唇に自分のそれを重ねた。
「甘いな。」
お互いの唇を離すと将臣がそう呟く。
「///。甘いのが好きって言ったじゃないですか!」
「ああ。そうだ。ただ甘いのじゃない。とびきりだ。足りないなもう一つくれるか?」
「///。こ、今年だけですからね!」
そう言って再び重なる二人の唇。
悔しいと思いながらも嬉しいと思ってしまう自分は相当
将臣に溺れているのだろうと自覚しながら
この甘い時間が長く続けばいいそう心から願っていた。
「HAPPY VALENTINE」
おしまい
あとがき
書いていた恥ずかしくなっちゃったんですけど(^。^;)
さて将臣君はあそびちゃんになんて言ったんでしょうかね〜。
会話から何となくご想像出来るかと思いますけどね。
甘くをテーマに頑張ってみました。
チョコより甘くなったかな??
バレンタインを過ぎてしまいましたけれど。
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです♪
だっち2012・2・16
「ねぇ。加地君欲しいもの?何かある??」
クリスマスの近づいてきたある日香穂子は下校途中に加地にそんなことを聞いている。
プレゼント=秘密の方がいいのだが加地の欲しいモノが検討もつかない香穂子は
思い切って聞いてみることにしたのだった。
「えっ?欲しいもの??」
突然に質問に驚いたのか加地は目を大きくして香穂子を見ながら言った。
「うん。ほらクリスマス近いし・・。
好きなものが分かればいいんだけど考えても私があげそうなものは加地君もう持ってそうだし・・・
何か欲しいものがあればその方がいいかな〜と、思って。」
少しだけ困った表情を浮かべて加地を見つめる香穂子。
「香穂さん。僕は君にいつもたくさんのモノを貰っているんだよ。
これ以上欲を出したら罰が当たっちゃうよ。」
そう言って優しく笑う。
「えっ?私加地君にいつも何もあげてなんかないよ??」
思い当たる節がない香穂子はよく分からないという表情を浮かべて加地を見ている。
「ふふふ。違うよ。僕が君からもらっているのはモノなんかじゃないよ。
そうだな例えば今のこんなに時間かな。君と一緒に帰るこの時間や君と過ごす時間。
どんな高価なものよりも僕にとっては価値のあるものなんだ。
君と重ねる時間が僕とって今一番大事でかけがえのないものなんだから。」
そう言って優しい眼差しで香穂子を見つめる。
「加地君・・・。
そんなこと言ったら私だって加地君には本当沢山のモノを貰っているんだよ。
こうして私が今頑張れたりヴァイオリを続けられるのだって加地君が傍に居て
私を支えて助けてくれるからなんだよ?
加地君の存在が今の私にどれだけ大切か。」
加地の言葉に釣られてそう言ったが言い終わったあと恥ずかしいくなったのか
頬を少し桜色に染めている。
「香穂さん・・・。本当に君はどうしてこんなに簡単に僕を幸せに出来るんだろう。
不思議だね。君といると本当僕は自分が幸せだと思い知らされるんだ。」
そう言うと加地の指先が香穂子の髪にそっと触れ愛おしそうに見つめられた。
「か、加地君///。」
益々恥ずかしくなって香穂子はドンドン真っ赤になっていく。
「香穂さん。僕は君が本当に好きだよ。」
サラっとそんな言葉を口にする。
「もうクリスマスのプレゼントを貰ってしまったようだよ。少し早いけどね」
そう言って香穂子の髪から手を離す。
「加地君・・・。でもね、でも私。
私が加地君に何かあげたいの。加地君の喜ぶ顔が見たいの。
その、好きな人の喜ぶ顔が見たいって言うのは誰でも同じだと思うの。
だから・・・。」
赤い顔をしながら必死に加地に訴える香穂子。
「香穂さん・・・。分かったじゃあ、クリスマスの日君の時間を僕にくれる??」
「えっ??」
「うん。受験で大変な時期だってわかってるけど良かったら君と過ごしたいんだ。」
勿論初めからそのつもりだった香穂子は加地の言った言葉に驚いて言葉が出ない。
では、今までクリスマスは一緒に過ごすつもりはなかったということなのか。
そう考えると何故か寂しく感じてしまう。
それはお互い受験を控えていて遊んでいる時間なんてないのかもしれない。
特に香穂子は加地と違って遊んでいる余裕なんこれぅポッチも無いのだが・・・。
そんな事を考えているのが顔に出ていたのかそれに気が付いた加地が
「香穂さん。誤解しないでよ。クリスマスは初めから会うつもりだったよ。
僕が言っているのは僕が君とやりたいことがあるからそのための時間を欲しいそう言う意味だから。
誤解させるようない言い方させてしまったみたいでごめんね。」
慌てて香穂子に説明する。
「えっ?私・・・。顔に出てた??」
困惑の表情を浮かべて加地を見る。
「君はわかりやすいから。」
そう言って困ったように笑う。
そう、わかりやすすぎて困るくらいね。
そうしてクリスマスの当日
香穂子はヴァイオリン教室のあと加地と会うことになっていた。
「わぁ!!大変もうこんな時間!!」
ヴァイオリン教室をでた香穂子は急いで加地と待ち合わせの場所に向かう。
もう少し早く終わるはずだったのだが思った以上に熱入った先生の教えに
香穂子もツイツイ時間を忘れて悪いことではないのだが夢中になってしまったいたのだった。
待ち合わせに時間を軽く20分は超えている加地に急いでメールを入れここからそんなに遠くは無い
待ち合わせの場所へ急ぐ。
待ち合わせの場所はあの海浜公園。
この寒い日にどうしてそこなのかは分からないが、加地がそこを指定してきたのだ。
公園が見えきて一度立ち止まり呼吸を整える。
その時どこからかヴィオラの音が聞こえてくる。
「えっ?!この音って・・・。」
音の方へゆっくり近づいていく。
そして香穂子が目にしたのもは公園のイルミネーションに照らせれた
加地が愛おしそうにヴィオラを弾いている姿だった。
加地が弾いている曲は去年のコンサートで一緒に弾いた曲。
『ヴィヴァルディの冬』
香穂子はゆっくりと目を閉じる。
思い出される去年のクリスマスコンサートそしてその後の加地からの告白。
幸せだ。
そう思ってやまない。
加地の暖かなヴィオラの音は自分に心に自然に入っくる。
暫くぶりに聞く加地の音を聞き香穂子は改めて彼の音が好きだと実感する。
自分を包んでくれるような彼の優しい音。
彼が音楽に対して未だにコンプレックスを抱えているのも知っている。
だから、香穂子は加地に無理に一緒に弾くことを頼んだりしない。
でも、今の加地は自分自ら弾いているのだ。
どうしてなんて理由はどうでも良かった。
ただ彼がヴィオラを弾いているその事実が本当に嬉しかった。
加地が曲を弾き終えてヴィオラを肩から降ろすと香穂子は
『メリークリスマス』と、加地に声をかけた。
「香穂さん!!もしかして・・・。聞いていたの??」
照れているとも困惑しているとも捉えられる表情を浮かべている加地。
「ごめんね。加地君の音につい聞き惚れちゃって・・・。」
そう言って加地を見て嬉しそうに笑う。
「香穂さん・・・。」
そう言って今度は本当に困惑な表情を浮かべる。
「加地君・・。本当に素敵だったよ。加地君のような暖かくて優しい音だった。」
香穂子は真っ直ぐ加地を見つめてそう言う。
「覚えている?去年、去年の今頃君はコンサートを成功させて学園の危機を救ったこと。
あれ本当に凄かったよね。」
綺麗な夜空を見上げて加地は懐かしそうに目を細める。
「うん。覚えてるというか、忘れられない。私が危機を救ったのかどうかはわからないけど
みんながみんなの音が学園を救ったって思ってる。勿論加地君の音だって学園を救ってくれたんだよ。」
夜空を見つめている加地を見ながら言う。
「僕は・・・。」
少し苦しそうに顔を歪ます。
そんな彼に近づき少し震えているヴィオラを持っている加地の手を両手で包み込む。
その行動に驚いて香穂子の方を見る。
「加地君。みんなで協力して努力して作り上げたじゃない。
それに私は加地君も加地君の音も好きなんだから。
そんなに自分を否定しないで、素敵なんだから認めてあげようよ。加地君の音楽。
それとも私が言っていること信じられない??」
「香穂さん・・・。」
香穂子を驚いたような顔で見ている加地。
「信じて欲しい。私が加地君を好きだから加地君の音が好きなんじゃないの。
このヴィオラから紡ぎ出される音も加地君だからこの音が加地君自身だから私は好きなんだよ。」
そう真摯な眼差しで加地を見つめる。
「ありがとう。」
聞き逃しそうな位小さな声だったが加地は香穂子にそう告げた。
「君を抱きしめてもいい?」
そう今度ははっきりと聞こえる声で言いながら香穂子をに笑いかける。
「そんなこと聞かなくたって・・・。」
そう言った後香穂子は加地の背中に手をまわし抱きついた。
「か、香穂さん!!」
驚いて固まってしまっている加地。
「いいって聞いてきたのは加地君じゃない。それに私はいつでもこうされたい
って思ってるんだから・・・。」
最後の方は本当に小さな声になったしまったが加地の耳にはしっかりと届いていた。
「香穂さん・・・。本当に君って人は・・・。」
そう言った加地の顔は、、
香穂子からは見えなかったが穂子と同じくらい真っ赤になっていた。
そしてそっと自分も香穂子の背中に手を回す。
「幸せだよ。香穂さん。これ以上ないって位ね。
でも、一つだけワガママ聞いてもらっていいかな。」
抱きしめたまま加地は香穂子のそう尋ねる。
「えっ?何?私にできること??」
加地の胸の中から少しだけ顔を上げて加地を見る。
「うん。君にしか出来ない事・・・。その良かったら僕と合奏してくれないかな。」
加地の言葉に驚いて言葉が出ない香穂子。
その言葉は香穂子が加地の口から一番聞きたかった言葉だった。
「ダメかな??」
不安そうな表情を浮かべて加地は香穂子を見つめている。
「ダメなんて思うわけないよ!!合奏したい!加地君と一緒に弾きたい。」
お互いに身体離した後香穂子は嬉しそうな顔でそう言うと
「そっか、ありがとう。」
加地も同じように嬉しそうに笑う。
「ううん。お礼を言うのは私の方だよ!!本当に嬉しいんだから。
ありがとう加地君どんなものよりも素敵なクリスマスプレゼントだよ。」
そう言うと香穂子はヴァイオリンケースをベンチに置こうとする
「えっ?違うよ。香穂さんこれは僕にとってもクリスマスプレゼントなんだ。」
そんな香穂子を見て加地はそう言う。
「えっ・・・。」
驚いて手を止めて加地を見る。
「この間僕に欲しいものを聞いたよね?
僕はね君とこうして一緒に演奏できる時間が欲しかったんだ。」
少しだけ恥ずかしそうにそういう加地。
「加地君・・・。」
「あと、これを君に言うのが遅くなったけどメリークリスマス香穂さん」
持っていたヴィオラを一度ケースも戻すとケースの中から小さな箱を差し出す。
「これは・・??」
差し出された箱を見ながら加地に訪ねた。
「クリスマスプレゼント。香穂さん受け取ってくれる?」
そう言いながら香穂子の手を出させてその手の上にのせた。
「えっ?いいの?」
箱から加地に視線を戻し遠慮がちに尋ねた。
「勿論君のために買ってきたんだ。
君以外受け取ってくれる人なんていないよ。」
香穂子の言葉に少し驚き不安な表情を浮かべて香穂子を見た。
「ありがとう。じゃあ、これ加地君に。」
嬉しそうに受け取った後香穂子は鞄から加地がくれた箱よりも一回り小さな箱を加地に差し出した。
「これは??」
今度は香穂子に差し出された箱を見て香穂子と同じようなことを今度は加地が香穂子に尋ねる。
「えっと。一応ああ言われたんだけどやっぱり何かあげたくて・・・その
気に入ってもらえるかわからないけどクリスマスプレゼントなんだけど。」
先程の加地同様香穂子も不安そうな表情を浮かべる。そんな香穂子を見て加地は素直に
受け取った後
「ありがとう香穂さん。開けてもいいかな??」
そう言って嬉しそうに香穂子を見た。
「えっ?!」
まさか直ぐに開けられると思ってはいなかったのか驚いた表情を浮かべる香穂子。
「ダメかな?」
そんな香穂子を見ながら加地は織ねだりするかの様に甘い声で尋ねる。
「そ、そんなことないけど・・・なんか照れるね。」
そんな風に加地に言われてしまい断れない香穂子はそう言って照れ笑いを浮かべる。
「フフフ。じゃあ開けるね。」
と、加地は香穂子から受け取った箱を開けた。
箱の中にはリング型のシルバーのピアスが入っていた。
「その、加地君ピアスあけてるしそういう趣味私のと合うかわからなかったけど
シンプルな感じで加地君にも似合いそうで。そのよかったら付けてくれると嬉しいな。
あっ、でもその趣味が合わなかったらその無理しなくていいから。」
恥ずかしいせいか聞かれてもいないことを話し出す香穂子。
「そんな事あるわけないよ。君が選んでくれたものに僕が気に入らないわけない。
ありがとう大切に使わせてもらうよ。シンプルでいいね。じゃあ、僕の方も開けてみてくれる?」
嬉しそうな表情でピアスを見つめた後加地は香穂子の箱を見ながら言った。
「うん。」
そして香穂子は加地から貰った箱を開ける。
「うわ〜。綺麗。」
箱から出てきたのはクリスタルで出来ている天使の置物だった。
「フフフ。よく見てこれ天使が手にヴァイオリを持っているんだよ。
まるで君のようだよね。」
香穂子を見るのと同じように愛おしいものを見る様に天使を見つめる。
「えっ?」
「だって君は僕の天使だから。」
そう言って恥ずかしいこともサラリと言ってしまう加地に香穂子は
真っ赤になる。
「天使って加地君・・・。」
「香穂さん僕にとって君は天使なんだこのクリスタルの天使のように
ヴァイオリンを持ったね。」
そう言ってクリスタルの天使と香穂子を交互に見ながら優しく微笑む。
「加地君って恥ずかしすぎるよ。」
と、真っ赤になりながらも加地に少しだけ抗議してみるも
「どうして?僕は思ったことを言っているだけだよ。」
そんな答えが返っきてしまう。
このまま香穂子が何かを言ったことろで逆に恥ずかしい言葉がが返ってきそうなので
『余りそんな事他の人が居るところでに言わないでね。』とだけ言っておいた。
加地の言葉はほんとの意味での本音だから香穂子もタジタジなのだ。
嬉しいのだが本当心臓に悪い。
加地君これ以上私をドキドキさせてどうするつもりなんだろう。
そんなことを考えていると加地が
「香穂さん。僕と一曲一緒に演奏してもらえますか?」
優しい笑を浮かべて加地は香穂子にそう言う。
「はい。一曲と言わずに何曲でも喜んで。」
これ以上ないというくらいの笑顔を浮かべて加地に答える。
そしてケースからヴァイオリンを出して準備をする。
お互いを見つめ合いゆっくりと奏で出す。
お互い演奏中に何度も目を合せ微笑む。
二人の奏でる音楽は綺麗に交ざり合い優しく暖かく辺を包む込む。
音楽だけではなく心までつながっている事を感じさせるように。
なんという充実感なのだろう。
君と奏でる重ねる音楽。
君は本当に僕の天使なんだね。
これが至極の時間というものなのだろうか。
このままこの聖なる夜に溶けていってしまいそうだ。
でも、それもいいかもしれないね君とならこの聖なる夜に溶けていっても。
そして二人が奏でているところに真っ白な雪が降り注ぐ。
まるで天使の羽が舞い散るように。
もしかしたら音楽の神様が二人を祝福して降らせているのかもしれない。
ねぇリリ。
「Merry Christmas
二人の音楽に祝福を・・・。」
演奏中そんな声が二人には聞こえた気がした。
それは聖なる夜に起きた奇跡かもしれない。
おしまい
だっち2011・12・25
あとがき
以上にてクリスマス3DAYSss終りになります(*´∀`*)
いかがでしたでしょうか??
加地君編も楽しんでいただけましたでしょうか??
楽しんでいただけたら嬉しいです!
でも、来年はこんな無謀な事はやめます。
これ書くのに一ヵ月以上かかりました(^^ゞ
3人一気は大変です。
達成感はあるんですがこの3人の中でどのお話が一番良かったか
良かったら教えてくださいね。
ではでは乙女の皆様良いクリスマスをお過ごし下さいませ!!
だっちから
Prettige Kerstdagen!!
(オランダ語でメリークリスマスです)
「今日はすまなかったな。」
土浦は申し訳なさそうに隣を歩く香穂子に謝罪の言葉をかける。
「えっ??なんで?」
そう言って首を傾げながらそんな土浦を見つめる。
「何でって・・。お前今日がなんの日か知ってるんだろ。」
少しだけ不機嫌そう表情をして香穂子を見る。
「うん。知ってる。クリスマスでしょ??」
「あっ、ああ。」
今日はクリスマス。
実は一昨日土浦の母親のピアノ教室に来ていた香穂子は急用でこれなくなったスタッフのかわりに
クリスマスパーティーの手伝いを頼まれたので
昨日のイヴの準備と本番の今日教室に来てその手伝いをしていたのであった。
そして今その手伝いが終わり土浦に家まで送ってもらっている所だった。
「私土浦君が謝っているわけがイマイチわからないんだけど??
何かあったっけ??謝られること??もしかして今日の手伝いのこととか??」
「そうと言えばそうだし、違いと言えばなぁ・・・。」
そう土浦は何か歯切れの悪い返事をする。
「よくわかんないけど。私は全然平気だよ。
パーティー楽しかったし。
それに・・・・土浦君が一緒だったから。」
そう言って寒いせいなのか照れているせいなのか
微かに赤くなった顔で『ヘヘヘ』と、土浦に笑いかけた。
「っ///。お前なぁ・・・。」
そう言われて悪い気はしないのだが恥ずかしく土浦は視線を香穂子から逸らした。
「あっ〜土浦君照れてるでしょ〜」
嬉しそうに視線を逸らされた土浦をニヤニヤしながら見つめる。
「うるさい!」
ズバリいい当てられた悔しさから香穂子の頭を勢い良くクシャクシャしだす。
「ちょっ!何するの〜土浦君髪がぐちゃぐちゃになっちゃうよ!」
「今日頑張ったご褒美だ。受け取れ!!」
そう言ってさらに激しく頭を撫で始めるとても楽しそうに。
「もう!!」
「ハハハハ!すっげー頭」
暫くの間激しく頭をなぜられたおかげで香穂子の髪は無残にも鳥の巣の様に
なっていた。
「もう!」
頬を膨らませて怒る香穂子に
「すまん。やりすぎた。」
と、言って今度は優しく香穂子の髪をときはじめる。
土浦の大きな手でするその仕草がなんとも心地よくて香穂子はゆっくりと目を閉じる。
「昨日と今日本当ありがとうな。折角のクリスマスだったのに・・・な。」
香穂子の髪をときながらそっと囁いた。
「お礼なんて・・・。例えクリスマス二人じゃなくたって土浦君と一緒なら
私は幸せなんだよ。」
瞑っていた目を開くとそう言って軽く笑う。
「来年は二人で過ごそうぜクリスマス・・・。」
照れながらも土浦は優しくそう言う。
「うん。そうだね。」
自分の頭にある土浦の手をとって自分の頬に置く。
「香穂・・・・。」
熱く潤んだ瞳で香穂子を見つめると香穂子はゆっくりと瞳を閉じる。
そして二人の唇が軽く重なる。
ゆっくりと・・・・。
再び香穂子の家へと歩きだすと
「あっそうだ。手出せこれ渡とく。」
土浦は立ち止まるとそう言ってポケットから綺麗に
ラッピングされている小さな箱を取り出し香穂子の手のひらに乗せた。
「これって・・。」
「大したものじゃないから期待するなよ。高校生の俺に買えるものだからな。」
照れ隠しなのか渡すと前髪をかきあげながら落ち着かない様子だ。
「どんなものだって土浦君から物もなら嬉しいよ。」
手のひらにある箱を見て香穂子は幸せそうに笑う。
「そうか・・。」
目の前の香穂子の反応に満足したのか。同じように嬉しそうな表情を浮かべる。
「じゃあ、私からはこれ。」
鞄からクリスマス用のラッピングがされた小さな紙包みを取り出して
土浦に差し出した。
「おう。サンキュー。」
「うん。」
満足そうに土浦を見たあと
「一緒に開けようか!」
「今か?」
「うん」
「まぁ、いいけど・・。」
そう言って二人はお互いの包を開け出した。
香穂子のくれたプレゼントは綺麗なダークグリーンの暖かそうな手袋だった。
そして土浦の箱には音符の形をした
トルマリンが散りばめられているイヤリングが入っていた。
「綺麗〜!」
そう言って手にとって月明かりに照らしてみる。
「こうするとキラキラ光ってさらに綺麗・・。」
そして土浦はそうしていつまでも眺めている香穂子の手からイヤリングを取り手に持つと
「付けてやるよ。」
そう言うと香穂子の髪を耳にかけイヤリングをつけだす。
突然のことで恥ずかしいのと嬉しいのとで真っ赤になったまま固まってしまう香穂子。
土浦の手が香穂子の耳にそっと触れる。
右耳そして左耳。
そして土浦の手が耳から離れる。
離れていく手に少し寂しいと思ってしまう香穂子。
「いいんじゃねえの?」
つけ終えた土浦は満足そうに香穂子を見る。
「本当??」
両耳で優しく揺れるイヤリング。
「ありがとう。大切にするね!」
そう言って耳についたイヤリングを自分の指で弾いてる。
そんな香穂子を見ながら自分は横で貰った手袋を嵌める。
「あったかいなこれ。ありがとうな!」
香穂子がプレゼントした手袋を嵌めた自分の手を眺めながらそう言う。
そして土浦の嵌めている手袋を見ながら
「そうそう!実はこの手袋お揃いなんだ!!」
と、嬉しそうに自分のコートのポケットから同じデザインの色違いの手袋を出す。
「なっ!お前・・・。お揃いって・・・恥ずかしいだろう。」
香穂子の取り出した手袋を見てそう言う。
「え〜!!なんでいいじゃない。
手袋なんてどれも似てるから気がつく人なんて早々いないよ。」
そんな土浦をよそに香穂子はあっけらかんとそんなことを言う。
「ダメだ。没取!」
そう言うと土浦は香穂子の手から手袋を取り上げた。
「あ〜!!返してよ!!それ気に入ってるのに!!」
取り上げられた手袋を取り返そうと土浦に手にある自分の為に買った
手袋を取り返そうとしている。
「お前のはこっちだろ!」
そう言って土浦の手袋の片一方を渡される。
「えっ?」
手渡された手袋を持って土浦を見る。
「こうすればひと組みで済むだろ。」
手袋のない片方の手は土浦にしっかりと握られてポケットに入れられる。
そして香穂子に渡さなかったもう片方は握られてない方の手にしっかりと
填められていた。
「土浦君・・。こっちの方が恥ずかしい気がするんだけど」
「いいんだよ。」
「・・・・。何だか冬っていいね。」
赤くなった顔で香穂子がそうポツリと言った。
「??」
今度は土浦が意味が分からないという顔をして香穂子を見る。
「だってこうやって土浦君の温もりが感じられるから。」
そう言って照れてはいるが嬉しそうに土浦を見る。
「お前なぁ〜。」
そう口では言っているがつながれている手に力が入る。
そんな土浦を見て相変わらず笑っている香穂子に負けて
「そうだな・・。寒いのは嫌だがお前の温もりを感じられる冬は悪くないな。」
恥ずかしさから視線をずらしてぶっきらぼうにそう言う。
「だね。見て〜!!満天の星だよ。」
見上げた空には寒させいなのかいつもより星が多く一段と綺麗にそして明るく輝いていた。
「綺麗だな。」
土浦もそう言われて空を仰ぐ。
「来年もこうやって眺めたいね。」
空を仰ぎながら香穂子はそう言う。
「そうだな。来年も一緒に見ような。」
土浦は隣の香穂子を見つめる。
「うん。Merry Christmas土浦君。」
「ああ、Merry Christmas香穂。」
そして見つめ合い優しく笑い合うとと二人は再び歩き出す
寒い聖夜にお互いの温もりを感じながらしっかりと手を繋いだままで・・・。
おしまい
あとがき
Merry Christmas香穂子&梁太郎
クリスマス3DAYS二日目の土×日どうでしたでしょうか??
これは何度も何度も書き直し内容を変更しました。
結局こうなったんですが(;^ω^)
学生なのでそれほど高価なモノはプレゼント出来ないし。
どうしようかな〜とか色々迷ったり(~_~;)
小説だから何でもありなんですが(;^ω^)
土浦君何を貰ったら喜ぶがわからなくて・・・。
本気で悩んだ私はお馬鹿??(笑)
明日は加地君です。
最終日です。よろしければ読みに来てくださると嬉しいです!!
ではでは、良いクリスマスイブをお過ごしください!
だっち2011・12・24
今日はクリスマス街は恋人同士で溢れかえり、どの人々も何故か幸せそうに見える。
キラキラした街にキラキラした恋人たち。
自分は一人ではない。が、こういう特別な夜は何故か一人ぼっちのような気がする。
「月森君何してるかな〜」
ぼんやりとそんなことを考えてしまう。
付き合っていても遠く離れている彼と一緒にいたいと願ったところで叶うはずもないし、
そんな我が儘を言うこともできない。
この時期一人で過ごすのは初めてでは無いのだが、分かっていても無性に寂しく感じる。
「去年は何してたっけ私。」
前の年のことを思い出そうとしても思い出せないのだが彼と一緒に過ごしていなかった
ことだけは確かだ。
「早いところ家に帰ろう。」
そう呟くと家路へといそいだ。
すれ違う恋人たちをなるべく見ないように。俯きながら。
彼らに罪はない勿論月森にも自分にも。
だけど。
寂しい・・・。
そう思うことは止められなかった。
でも、来年は年明けには帰ってきてくれる。という事実が今の自分の
気持ちを少しだけ浮上させてくれる。
あと少し、そうあと少し待てば会えるのだ。
手にもっているヴァイオリンケースに力が入る。
そう自分に言い聞かせて香穂子は早足でその場から離れた。
冬だけあって日の暮れるのも早い。
空には寒いせいなのかいつもよりも一層星が瞬いている。
「綺麗だな〜。」
夜空の星と月を眺めながら香穂子は歩いている。
この星もこの空この月さえも月森君と繋がっているんだよね。
月森君も少しは寂しいって思ってくれてるかな。
絶対に聞けないけど。
そう思いながら苦笑いを浮かべる。
いつか、いつの日か一緒に過ごせる日が来るのかな。
来るといいなぁ。
「会いたいよ。月森君」
歩を止めて悲しい笑を浮かべてポツリとそう呟く。
そういったところで会えるわけではないのだが言わずにはいられなかった。
もうどれくらい会っていないのだろう。
もう少しそのもう少しが今はとても遠く感じる。
いつから自分はこんなに欲深くなってしまったんだろう。
もうすぐ会えると分かっているのに、今会いたいと強く願ってしまう。
「ダメだな。私、こんなんじゃ月森君にあきられちゃうね。」
今にも泣き出しそうな顔して再び歩き出す。
泣いたらダメ。泣いちゃダメなんだから。
そう思えばそう思うほど瞳には涙が溢れてくる。
そして溢れ出した涙が香穂子の頬を伝って下に落ちる。
『ポタ』一滴『ポタ』また一滴と。
「おかしいな。泣くつもりなんて無かったんだけどな。」
そう自嘲気味に悲しそうに笑う。
そして残りの涙を拭う。
弱いな。
私。
ごめんね月森君。
携帯を出してディスプレイに映し出されている月森に謝る。
その時携帯にメールが届いた。
驚いた表情のまま香穂子はメールを読み始めた。
香穂子へ
大丈夫だろうか?
すまない急にこんなこと。
でも何故か今君が泣いている気がしたんだ。
俺の気のせいだといいのだが。
声が聞きたい、いいだろうか?
月森
どうして・・・。
どうして分かってしまうんだろう。
こんなに離れて随分と会ってもいないのに。
月森君はどうして。
止まっていた涙が再び溢れ出す。
そして今度は携帯が月森からの着信を知らせる。
涙を拭って香穂子は通話ボタンを押した。
「も、もしもし」
なるべく泣いていたのを気がつかれないように明るい声で。
「香穂子。すまない急に・・・。」
そう言うと月森は黙ってしまう。
「ううん。」
そう答えただけで香穂子も黙ってしまった。
「やはりそうか・・・。
泣いていたんだな。」
そう辛そうな声で月森に言われる。
「泣いてなんて・・・。」
そう言って言葉が詰まる。
「すまない・・・。」
ポツリと月森が呟いた。
「えっ?どうして月森君が謝るの?」
月森の言葉に慌てる香穂子。
「先程まで君との思い出の曲を弾いていたんだ。
そしたら・・・。
急に弦が切れてなんだか君が悲しんでいる顔が浮かんできたんだ。
泣いていたのか?」
今度は確かめるように優しく尋ねられる。
「うん。ごめんね・・・。」
これ以上嘘を付きたくなくて香穂子は月森に素直に答えた。
「よかったら、なぜ君が泣いていたのか聞かせて貰えないだろうか?」
さらに優しく月森は香穂子に尋ねる。
月森の問いに戸惑いながらも香穂子は話し始めた。
「寂しかったの。会いたかったの。もう少しで会えるって分かってる。
でも、街は幸せそうな恋人同士が多くてその中を歩いていたら・・・。
ごめんね呆れちゃうよねくだらないって思うよね。このくらいのことで泣いちゃうなんて。」
遠慮がちに香穂子は月森に正直な気持ちを告げる。
「香穂子。
呆れなどしない、それに君が涙を流すほど辛いことだったんだろう?
ならくだらないということはないはずだ。
滅多に弱音をはかない君が言うことがそんなことがあるはずないだろう?
それに君を悲しませているのは俺自身なのだから。
すまない香穂子・・・。
こんな時に気の利いた言葉の一つも出てこない俺は情けないな。」
申し訳なさそうに話す月森に香穂子は
「違う・・。月森君。月森君が悪いわけじゃない!
情けなくなんかない!
私が、弱い私が悪いの。
だから責任なんて感じないで。
もう少しで会えるのに欲張っちゃった私が悪いの。」
「香穂子・・。君だけじゃない。
会いたいと思っているのは君だけじゃないから。
会いたいと思うのは悪いことじゃないと思う。そう言ってもらったところで
今の俺には何もできないのだが、もし俺にそういうことで君が一人で泣かないで済むのなら
言って欲しい。」
「月森君・・・。
ありがとう。凄く嬉しい。」
不器用な彼が自分の事を思い彼なりに出来ることをしてくれようとしている。
その事実が香穂子をどれだけ喜ばせただろう。
「今の俺にはこれくらいのことしかできないから。」
「十分だよ。」
「そうか。」
一瞬月森の笑った顔が見えた気がした。
「うん。」
そして香穂子もそう言って笑う。
「こちらももう日付が変わるな。」
「あっそっか。じゃあ月森君MerryChristmas!!」
そう明るく笑いながら月森に言う。
「ああ、MerryChristmas香穂子」
同じように優しく微笑んで香穂子に言った。
「いつかきっと二人で過ごせる日が来るよね。」
「ああ。俺はそう信じている。」
月森のその迷いのないその言葉に心がふわりと暖かくなる。
どうして私は寂しいなんて思ったんだろう。
こんなにも思ってくれている彼がいるのに。
私も信じてる。
その日が必ず来るのを・・・・。
電話を切ったあと
その時香穂子の見上げている空から沢山の白い雪がふわりふわり舞い落ちてくる。
「あっ雪・・・。」
その舞い落ちる雪を見ながら
「もう一度言わせてね。
Merry Christmas月森君あなたの願いが叶いますように。」
おしまい
あとがき
少しシリアスな感じで書いちゃいました(#^.^#)
最後はホンワカな感じで(*´∀`*)
月森君は少しだけのご出演でした(~_~;)
なぜかというと年明けに月日SSを書く予定をしているのでそちらで
甘さは補充かなと思いまして♪~(´ε` )
クリスマスプレゼントもそちらで渡す予定です(^^♪
明日は土浦君ですヨ!!
明日も是非ともお持ちしています。
下におまけがありますがギャグっぽくなっていますので
このまましっとりという方はまた次回にでも読みに来ていただければと!
OKという方はどうぞ!!
おまけ
*電話でのひとコマ*
「どこでもドアでもあればいいのにね。」
「どこでも・・・ドア??とは一体なんだ?」
「えっ?ドラ○もんのだよ。あったら今スグにでも会いに行けるのに。」
「今すぐ?そんなものがあるのか?というよりそのドラ○もんとは一体なんなんだ?」
「えっ?もしかして月森君ドラ○もん知らないの??」
「だからさっきから君が言っているそのどら、どら。」
「ドラ○もんだよ。」
「それは、一体・・・。」
「青い猫型ロボットだよ。」
「青い猫型ロボット・・・・・。」
「うん。国民的アニメの登場人物!」
「国民的アニメ・・・。」
「そっか知らないのか!」
「ああ。すまない・・・。」
「謝らないでよ。でも可愛いんだよ。」
「可愛いのか??猫型ロボットが??」
「うん。凄く。」
「そ、そうか・・・。」
どんな想像をしているのかそう言ったまま月森は暫く黙ってしまったらしい。
そしてこの疑問を解決すべく月森が帰国した際に二人でドラ○もんを見に行って
とても驚いて暫く固まっていたようだ。
おしまい
お付き合いありがとうございました。
Len
この小説は遥か3のキャラが、料理屋で働いているというかなりの
パラレルです。
年齢設定は、遥か3の世界の設定にしてあります。
なので、将臣は望美より3才年上になっておりますのであしからず。
しかも、主人公はNOT望美でオリジナルの主人公です。
(名前の変更はおこなえません。)
望美も登場人物の一人として出てきます。
それでもよろしければどうぞ。
以下は登場人物せつめいです。
主人公
水森あそび23才
割烹平家から日本料理龍神にある人に頼まれてやってくる。
明るく人懐っこい性格。
基本真面目。
付き合うたびに振られてしまうため
男性に対して諦めているところがある。
基本的に早起きが苦手。
なによりもお酒が大好物
日本料理龍神メンバー
≪キッチン≫
白井龍(たつ)年齢不詳この店のオーナー人神出鬼没である。
リズヴァーン 37歳(料理長)年齢的に・・。
源 九郎 25歳(料亭源氏の源頼朝の弟。兄を尊敬している。
ブラコン気味)
有川 将臣 24歳(二年ほど前割烹平家からやってくる。
あそびの先輩で以前の職場仲間)
平 敦盛 21歳(去年将臣同様平家からやってきた。
あそびの後輩)
有川 譲 19歳(大学生。将臣の弟。
将臣と望美に頼まれキッチンでアルバイトをしている。)
≪ホールスタッフ≫
梶原 景時 30歳(この店の店長だが、
気が弱いためソムリエの弁慶に押され気味。
妹の朔には頭が上がらない)
武蔵坊 弁慶 28歳(ソムリエ。端麗な容姿と柔らかい物腰のため、
彼目当てで来店する客も多い。
実は、かなりの腹黒らしい。)
藤原 湛増 21歳(ウェイター。女性を口説くのが男の使命だと思っている
来店する女性客に甘い言葉をかけまくっている為
弁慶同様彼目当てで来店する客も少なくない。)
春日 望美 20歳(大学生。将臣と譲の幼馴染ホールでアルバイトしている。
龍神のアイドル的存在。
平家の知盛と付き合っているらしい。)
梶原 朔 21歳(大学生。景時の妹でしっかりもの。
兄に心配をいつもしている。
平家のオーナー黒井龍と付き合っているが
兄にはまだ言えないでいる。)
割烹 平家
≪スタッフ≫
黒井龍(りゅう)平家オーナ-。白井龍とは幼馴染で親友。
清盛・知盛・重衡・経正・維盛・時子
清盛は子供の姿ですがパラレルですので気にしない気にしない
平家のメンバーはあまり出てこないため人物だけの紹介ですみません。
(けして面倒のなったわけでは・・・・。)
以上こんな構成で進めていきたいと思っています。
一応続きものの予定でざいます。
おちは、オールでいけたらいってみたいんですが頑張ります。
リクエストがあれが言ってみてやってください。
2011
だっち
06 | 2025/07 | 08 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |